今月の花(8月)もみじあおい

kousyokki避暑先の高原に届いたのは、東京で留守を守る父からの葉書でした。そこには子供にも読めるようにきちんとした大きめの字で、まず「もみじあおいがさきました」とありました。

もみじあおいは、東京の家の庭の隅でほかの草花に交じり少し窮屈そうに伸びていました。やがて私の背丈くらいになり、丸い蕾がつきました。蕾の先はとがり、その周りを髭のように囲むのは後から考えると萼(がく)だったのでしょうか。ともかくほかの蕾とはちがう、と観察しながら思ったものです。高原に出発する日、蕾はまだ開かなかったのですが赤い色を少しだけのぞかせていました。

もみじあおいはその名のとおり、葉の形がもみじに似ているためつけられた名前です。もみじの葉と比べるとぐっと深く切れ込んでいますが、その切れ目のせいか風を通して軽々と涼やかです。

名に「あおい」とつくとおり、アオイ科でふよう属に属します。学名はHibisucus Coccineus。夏に咲くハイビスカスと近縁ということがこの名前からもわかります。花の中央にしべが長めに出ているところもハイビスカスと同じです。

もみじあおいの中国名の紅蜀葵はそのまま日本で(こうしょっき)と読むようになり、この花のもうひとつの名前となりました。

満開になると直径が15~18cmにもなる花は、5枚の花弁を従えてほとんど水平に近く開きます。花びらの表面には線があり、さらりとした質感を目に与える紅色の一日花です。

強烈な夏の日差しのなかで精一杯咲いている花々の中でもこの花は特に気品があり、どこか南の国の王族の浴衣にありそうだ、と童話が好きだった私はながめていました。

毎日暑い中でこちらも東京で頑張っているよ。自分を表すのが苦手な父が、もみじあおいに重ね合わせて葉書を書いたのではと大人になってふと思ったものです。(光加)

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