朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会 4月
朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会。4月の兼題は「カフェきごさい」サイトより今月の季語「春のバラ科の花々」料理「葉山葵のお浸し」花「スイートピー」です。
【特選】
スイートピー迷路のごとき蔓を追ふ 今日子
マメ科であることを再認識させられる宿根草スイートピーの蔓。蔓を迷路と捉えた一句。ただ「追ふ」では意味不明。「スイートピー迷路のごとく蔓のばし」。
白藤の木下に眠れ孕鹿 隆子
白藤のぼおとした空気感と子を宿した鹿の倦怠感が呼応する。「木下」が強いので藤の花が消されてしまう。「白藤の下に眠れる孕鹿」。
子に送る粽をきりりと結びけり 弘道
子供の健康と幸を願う手作りの粽。この句の粽を結ぶ表現としては「きりり」よりぴったりなことばを探したい。「を」はいらない。
【入選】
こでまりの垣根に弾む新居かな 隆子
弾むこでまりに新しい暮らしへのわくわくする心持ちを託した。「垣根」は不要。
点々と置かれし碁石浮寝鳥 周作
浮根鳥が碁石とは面白い。ただ、浮いている柔らかい鳥が石とは少し無理がある。
花衣脱ぎて母の割烹着 弘道
花見の余韻に浸る間もなくすぐに日常へ。これが母の強さかもしれない。「脱ぎて」がいかにも説明。脱がなくてもいいか。
八重桜雨に重たき日曜日 涼子
なにげなく置かれたような「日曜日」が思いのほか効いている。
さみどりの山河かをれる新茶かな 隆子
「かをれる」がたどたどしい。ストレートに表現した方が句の内容に合う。
友無事や花菜漬の届かざり 弘道
毎年の花菜漬が届かない。「友いかに」。
蔓先は虹を恋ふかにスイートピー 隆子
どこまでも伸びようとする蔓。「蔓の先」。
山葵田を巡りて青い風となる 今日子
この中七下五には「山葵田」より合う季語がありそう。「青き風」。
制服の折り目正しきスイートピー 周作
制服の清潔感と青春性がスイートピーによく合う。
ゆすらうめ鳥の止まれば花こぼれ 光枝