カフェきごさい ネット投句(六月)飛岡光枝選
高原の風に吹かれ群れ咲く白い花。羽毛のようなその実も思われる。原句は「空までも白き絨毯ちんぐるま」。
捨てられぬ本に囲まれ梅雨に入る 弘道
堆き本を詠んだ句は多いが、この句は「梅雨に入る」の季語がいい。
ほうたるに闇の記憶の始まれり 勇美
光があればこそ闇が生きる。原句は「ほうたるに闇の記憶は始まれり」。
【入選】
磐座やひとつふたつと夕蛍 涼子
神がゆらりとお出ましになった風情。
大阪に戻る活気や鱧の皮 涼子
夏になりいよいよ盛んな大阪の心意気。
オラシオのこゑか卯月の波の音 隆子
初夏の白い波のかなたから聞こえる祈り。原句は「オラシオのこゑよ卯月の波の音」。
浅草や子供神輿の声はじけ 弘道
原句は「浅草に子供神輿の声はじけ」。原句ではただの報告に。