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今月の花(八月) 実桃

caffe kigosai 投稿日:2021年7月20日 作成者: koka2021年7月20日

お雛様に飾る桃の花より、桃の実の方をより好む方も多いでしょう。桃は中国原産ですが、実を楽しむ桃は明治の終わりには水密系の桃に改良が重ねられ、白桃や黄桃など甘みの増した桃が次々とでてきました。 

避暑で毎夏訪れた蓼科の山間の小さな寮の前の谷川。西瓜は買ってきたビニールの網にいれたまま、冷たい流れに冷やしていました。一緒にいれたジュースの缶の文字が水の中でゆれ、時たま小さな魚が走っていきました。

桃だけは沢の水をためた小さなアルミの桶の中に、(そっとね)という母の声を聞きながら沈めました。薄桃色の肌の、赤ちゃんの産毛のような毛茸あたりから透明な泡が立ちのぼりました。十分冷えた頃とりだし、皮をぺろりとむく間も惜しくかぶりつくと、母が(おいしそうな音を立てて食べるのね)と笑いました。あれは白桃だったでしょうか。

桃の紅茶を初めて飲んだのは30年前、イタリアのフィレンツェ郊外のある家に泊めてもらった時でした。庭のテーブルに座っていると、女あるじが水差しから甘い香りのお茶をグラスに注いでくれました。

「何かしら?」それはテ アッラ ぺスカ(桃の紅茶)でした。ガラスの水差しの底には切った桃が沈んでいました。桃を切って熱く出した紅茶に入れて冷蔵庫で何時間か冷やしただけ、砂糖もいれて、と彼女は説明してくれました。

イタリアでは暑さの増すこの季節に飲まれるようで、庭のパラソルの下での冷たい桃の紅茶は喉に心地よくしみていきました。ヨーロッパではこの時期、日本ではあまり見かけない蟠桃という平たい桃をよく見かけます。この時の桃はそれではありませんでした。

イタリア語の「pesca」は、英語では「peach」、学名は「Prunus persica」。 どこかにペルシャを思い起こす名前です。もともと中東を通ってペルシャに入ってきたので、ペルシャ原産と思った人たちが 「ペルシャのりんご」と呼んだことによります。

邪気を払うと言われる桃の力に基き、桃太郎伝説が生まれました。ここらへんで現代の桃太郎さんに登場していただき、今の世界にはびこっている鬼たちをぜひ一気に退治してもらいたいものです。(光加)

今月の季語(八月) 盆の月

caffe kigosai 投稿日:2021年7月18日 作成者: masako2021年7月18日

八月は旧暦と新暦の差異をあまり感じない希有な月です。立秋を過ぎても夏休みと呼ぶなど、そもそも違和感を内包している月ともいえそうですが。夏なのか秋なのかと考えるより、どちらの季語も自在に駆使しながら向き合いたいものです。

〈盆の月〉は歳時記の定義としては旧暦七月十五日の月ですが、八月の月ととらえてこの稿を進めます。現役の方々にとってはお盆休みに帰省するころの月となりましょうか。立秋過ぎですがまだまだ暑く、虫に刺されながら仰ぐ月です。

浴(ゆあみ)して我が身となりぬ盆の月   一茶

昼間の汗を流してすっきり。ようやく自分の身体を取り戻したという感覚は昔も今も同じようです。

さむしろや門で髪ゆふ盆の月    蓼太

「さ」は接頭辞。「さむしろに衣かたしき今宵もや我を待つらむ宇治の橋姫」(『古今集』)などと使います。「さむしろ」を敷いて髪を結うのは宇治の橋姫? いやいや深窓ならぬ「門で」ゆえ、「さむしろ」もさぞかし「狭」い「筵」に違いない、といったところでしょうか。句意はさておき、家うちは暑いけれども、夜の屋外はしのぎやすい気温になっているのです。

身ほとりを固き翅音盆の月   ふけとしこ

裏口に草木の匂ひ盆の月      鷲谷七菜子

盆の月草の山より上りけり     大峯あきら

第一句の翅は虫のはねに使う漢字です。何の虫でしょう。甲虫が過ぎるだけならよいのですが、あまり嬉しいものではない気がします。第二句第三句からは盆の月の若さを感じます。実際には私たちの周りが青々としているだけなのですが、月からも熟す前の青い匂いがしてきそうです。

盆の月しばらく兄と語りけり   黒田杏子

帰省したときの句と受け止めていますがどうでしょう。〈盆三日あまり短し帰る刻  角川源義〉という句もあるように、帰省はするとなると忙しないのですが、してしまうともう戻りたくない。里の家にはいつもと違った時間が流れているようです。

ちちははと住みたる町や盆の月   上野章子

父母ありてこの世まつたし盆の月 上田日差子

盆の月は父母とセットになっているともいえそうです。二句ともに、過ぎてから顧みると切ない句です。

ふるさとに墓あるばかり盆の月   鈴木花蓑

盂蘭盆の供養の句にも月がしばしば登場します。

香煙の中に月あり盆大師       五十嵐播水

盆の島月にどうどう太鼓うつ    橋本美代子

望月や盆くたびれで人は寝る    路通

第一句はお大師さまの境内の景。人々が一斉にくりだし、香煙がたちこめています。第二句は島の盆踊でしょうか。第三句は盆の行事にくたびれて寝静まった下界を照らす満月です。

昔「まあるいまあるいまんまるい 盆のような月が」と歌った記憶がありますが、旧暦の盆の月は十五日の月ですから、まさに盆のような月です。新暦の場合は(休暇取得の都合が重なれば更に)いろいろな形になりそう。この点だけは「差異」を免れないようです。(正子)

 

新刊のお知らせ

caffe kigosai 投稿日:2021年7月7日 作成者: mitsue2021年7月10日

昨年12月に刊行された福島光加さんの新刊『Koka A Passion for Ikebana』(英語版)のキンドル版、ペーパーバック版、ハードカバー版ができました。本書は、このサイトのエッセイをまとめた『花のテラスで』(2014年刊)、『花のテラスでⅡ』(2018年刊)〈共に花神社〉から48のエッセイを厳選、日本の古典文学の研究者で長年日本の大学で教鞭をとるジャニーン・バイチマンさんが英訳を担当しました。光加さんのいけばな作品もふんだんに掲載されたフルカラーの一冊です。刊行直後からドイツをはじめとするヨーロッパ、北米、南米からの反響が届いています。Amazon(洋書)にアップされていますので、ぜひご覧ください。(店長)
【問合せ】福島事務所 book@kokanote.com

カフェきごさい「ネット投句」(6月)飛岡光枝選

caffe kigosai 投稿日:2021年6月23日 作成者: mitsue2021年6月23日

【入選】
神鳴や縦横無尽に生きてきて  和子

雷の大音響にはっと我に返った心持でしょうか。「神」という一字により、「雷」とニュアンスの差が生まれるのをよしとするかどうか。

忘れ草一輪残る大野原  和子

漱石に「萱草の一輪咲きぬ草の中」がありますが、こちらは一輪残った花。「忘れ」と「残る」がぶつかるので萱草の花としたいが、ほぼ漱石の句と同じになるので悩ましいところ。

旅人の仰ぐ空あり山法師  涼子

原句は「旅人の仰ぐ安らぎ山法師」。「仰ぐ安らぎ」は少々無理があります。

新玉ねぎ茎の青さの皮をむく  涼子

語順がねじれてしまいました。素直に作ると「茎青き新玉ねぎの皮をむく」でしょうか。率直に作るほうが伝わります。

麦の道母の棺に附いて行く  弘道

原句は「麦畑母の棺に附いて行く」。「麦畑」には作者の率直さが表れていますが、動きがほしいところ。

朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」(五月)

caffe kigosai 投稿日:2021年6月22日 作成者: mitsue2021年6月23日

新宿朝日カルチャーセンターの「カフェきごさい句会」。今月の兼題はサイトより、5月の季語「夏の風」、花「王冠百合」、江戸の味「初鰹」です。

【特選】
白南風やセーラーの襟翼めく  勇美

梅雨が明けた晴れやかな夏の風に吹かれる少女。シンプルな情景に青春が香る。白南風の「白」が「セーラー」「翼」と呼応して。

桑の葉の露拭く母の真似をして  弘道

忙しい養蚕農家は子供も重要な働き手。母の手元を見ながら、お蚕さんにあげる桑の葉を拭く。「桑」は春の季語だが、この句は「露」が季語のしっとりとした秋の句としたい。

雨脚を刈つてゆくなり草刈機  涼子

「雨脚を刈る」が秀逸。

背にはらむ麦秋の風ツーリング  涼子

前句同様、よく見る光景が的確な言葉でとらえられ印象深い一句に昇華している。この句では「背にはらむ」。

【入選】
黒百合の霧を纏うて一人立つ  和子

一人と擬人化して黒百合の存在感を強めた。

ままごとのお茶のお客や雨蛙  勇美

ほんとうに?と聞きたくなるが、かわいらしい雨蛙を見ているとそんな思いにも。原句は「ままごとのお茶のお客は雨蛙」。

初鰹棹しなはせて宙に舞ふ  涼子

「舞ふ」が作りすぎて実感と遠くなってしまった。「初鰹棹のしなつて宙を飛ぶ」など。

頂きを掴む右手に夏の風  和子

「頂を掴む」が力強く夏の風の句らしいが、より強い季語を選びたい。「頂きを掴む右手や大南風」など。

初鰹高らかに告げ島言葉  勇美

初鰹の喜びあふれる一句。島の言葉で鰹は何というのか聞きたいもの。原句は「初鰹告げて高らか島言葉」。

柔らかな日射し湛へし若楓  和子

若楓の葉の柔らかさではなく、日射しを柔らかいととらえて新鮮。「湛へし」→「湛へて」。

海界へ白帆弓なり大南風  涼子

海神の操る帆船のよう。

はちきんは酒豪揃ひぞ初かつを  涼子

高知の女性「はちきん」と鰹は少々付き過ぎだが、「初鰹」の「初」の勢いが感じられる。

森の奥王冠百合の花香る  光枝

浪速の味 江戸の味(七月) 江戸前にぎり寿司【江戸】

caffe kigosai 投稿日:2021年6月21日 作成者: mitsue2021年6月21日

「鮓」はもともと魚類の保存方法のひとつで、古くから塩づけや粕づけが行われていました。魚を飯に漬けて発酵させた「熟れ鮓」は全国にあり、近江の鮒鮓はよく知られています。熟れ鮓を夏に漬け込むので「鮓」は夏の季語になったと言われます。
 
元禄時代になると飯に酢を加えた「早鮓」が生まれ、江戸前のネタを使った「にぎり寿司」が江戸っ子に大人気となりました。ちなみに「寿司」というお目出度い当て字は江戸で生まれたそうです。

当時のにぎり寿司は、おにぎりほどの大きなもので屋台で売られていました。それをひとつふたつ頬張ってさっと帰るのが粋と言われ、せっかちな江戸っ子にはぴったりの食事でした。

江戸前のにぎり寿司の特徴は、ネタを調理して使う、いわゆる「仕事」がしてあることです。小鰭の酢〆、鮪のづけ(醤油漬け)、穴子の煮物などがよく知られています。もともとは冷蔵技術が無い時代の知恵でしたが、現代ではこの丁寧な仕事が江戸前寿司の人気をより高めているのではないでしょうか。

江戸前にぎり寿司の夏のネタに「新子」があります。ニシン科の新子は出世魚で、大きくなるにつれ「コハダ」「ナカズミ」「コノシロ」と名前が変わります。「新子」が出まわるのは夏の三週間くらいと限られているうえに、身が小さく、一貫に多くの新子が使われるため、お値段もなかなかになるとか。新し物好きで見栄っぱりな江戸っ子をまねて一度はいただいてみたいものです。

川風にゆるる暖簾や鮓の見世  光枝

今月の花(七月) 青芭蕉

caffe kigosai 投稿日:2021年6月17日 作成者: koka2021年6月17日

梅雨入りのころ、そろそろ夏の花材が見かけられるころとなりました。

この状況の中で、オンラインのデモンストレーションをお引き受けすることも多くなりました。対象は国内だけでなく、中には北に位置する国もあります。先日はドイツを中心とするヨーロッパ、来週はヨルダンのアンマンの支部に向け東京の本部からデモンストレーションで発信です。

「日本の旬の花材も見たいので使ってください」と言われ、その土地であまりみかけず、日本らしい旬のもので喜んでいただけるには何がいいかしら、と考え花屋さんに注文します。

北の国に向けて、例えば芭蕉の葉を使ってはどうでしょうか。

日本の芭蕉の北限はどのへんでしょうか。意外にどこでも見受けられます。私たちがせいせいとした気持ちで見上げるのは今から。葉の巻きがとけ、涼しげで青々しく、手にすれば風が渡ってくるような軽やかさのある、時には二メートルを超す大きな平たい葉。思わず扇いでしまいたくなります。丁寧に扱わないとすぐに則脈にそって横に切れてしまいます。直角に交わっている主脈も柔らかいのでこれも取り扱い注意です。

水が滴るような緑の葉の茎にハサミを入れるとサクッという音とともに切れ、その伝わってくる手ごたえから、これなら水も空気も通す構造と納得をするのです。

空気を通す、といえば私のあこがれは芭蕉布。琉球糸芭蕉から作られます。琉球糸芭蕉は、地下から出ている茎が折り重なって葉のようになっていくのですが、これを偽茎と言い、その繊維で糸が作られます。今では織り手も少なくなり高価なものとなったようですが、暑い東京でまとってみたらどんなに涼しいでしょう。

また美人蕉の愛らしい赤い花をいけるのもこの頃。姫芭蕉といって芭蕉とは近縁です。

近縁でいえば、実芭蕉が私たちの食生活に最も近いかもしれません。改良を重ねられたものがバナナです。八月、パプアニューギニアの祭りで、道端に売っていたバナナの数えきれないほど房の付いたものを、いけばなの花材として使いました。首相夫人も迎えたデモンストレーションでしたが、翌日の地元の新聞に「IKEーBANANA ’いけばなな’」バナナといけばなをかけてユーモアを交えて紹介されていました。現地では甘くなく料理としていただくバナナがよく食卓に上るのだそうです。

最大の歓迎として、地を掘って豚を一頭埋めてバナナの葉をかぶせ、野菜やスパイスなどとともに蒸し焼きにしてくださった地元の方たちのことを、芭蕉の葉を手にすると懐かしく思い出します。

小さいものから大きなものもある幅広い芭蕉の葉。せっかくなので使った後は乾かして再度使います。乾かしすぎて秋、冬を迎える頃には手に取ると、ぱらぱらと形がなくなるほど破れてしまいます。芭蕉はやはり夏のものだと思う瞬間です。(光加)

今月の季語(七月) 夏の星

caffe kigosai 投稿日:2021年6月17日 作成者: masako2021年6月17日

月の季語を追う途中ですが、今月は星の季語を挟むことにしましょう。

〈夏の風〉〈夏の月〉のときと同様に、夏期の星をさす季語に〈夏の星〉があります。

アラビヤの空を我ゆく夏の星          星野立子

嘴あらば銜へむ夏の星赤し           正木ゆう子

子へ与ふ一字探しぬ夏の星             辻 美奈子

明治生まれの立子ですが、渡航経験は豊富です。アラビヤを目的地としたことはなさそうですから、インドからヨーロッパへ回った旅の際に上空を通過したのでしょう。魔法の絨毯でアラビヤの夜空を飛びゆくようでもあり、星々の間を抜けてゆく銀河鉄道のようでもあります。こんなことができるようになるなんて、と嬉々としていそうです。

天体の捉え方がユニークな正木さんは、夏の星をついばみたく思っているようです。赤い星はアンタレスでしょうか。苺、というよりカシスの味がしそうです。

辻さんは『真咲』という句集を出されたときに、句集名にはお嬢さん方の名前から一字ずつ貰ったとおっしゃっていました。夏の星を仰ぎながら探し当てたのは、さてどの文字だったのしょう。

熱帯夜に星を仰ぐこともあり得ますが、〈夏の星〉の句を読んでいると涼しいといわれなくても涼しくなってくるようです。

白髪の母似と言はれ星涼し                          栗田やすし

星涼しアンデルセンの童話など         星野麥丘人

父祖の地に入りて微塵の星涼し              橋本榮治

栗田さんは今風にいうならば見事なグレーヘアの紳士です。真っ白でふさふさのシルバーヘアというほうが適っています。髪は「母」からの遺伝であったと判明するころには、「母」はかの世へ渡られているかもしれず。いよいよ涼しく星を仰ぐことにもなりましょう。

麥丘人は石田波郷、石塚友二の跡を継いで「鶴」の主宰を務めた人です。星空の見える(見えそうな)窓辺でアンデルセンの童話を子に読み聞かせたことがあったのかもしれません。その夜は、子のみならず父の夢にも涼しく星が降ったことでしょう。

橋本さんの「微塵の星」は銀河でしょうか。〈銀河/天の川〉は秋の季語ですが、帰省やキャンプはむしろ夏。そういうシチュエーションに〈星涼し〉は最適な季語といえそうです。

昨年は梅雨明けが八月に食い込みました。七月いっぱいずーっと梅雨(そんな日が来るなんて、と思っていましたが、今年は西日本の梅雨入りがなんと五月に!)。〈梅雨の星〉を六月限定の季語とは言いかねるようになってきました。さて今年は?

むささびや杉にともれる梅雨の星        水原秋櫻子

梅雨の星齢といふも茫々と           廣瀬直人

晩夏限定の星の季語もあります。〈旱星〉です。夜になっても全然涼しくならない! というときに登場しそうな季語です。

蛇・蝎・サザンクロスも旱星                       鷹羽狩行

バーボンは荒くれの酒旱星                           牛田修嗣

暑さに濁る大気を通過し、地上に光が到達するのは一等星でしょうか。旱星とは禍々しい名ですが、実は光の強い星なのでした。(正子)

カフェきごさい「ネット句会」6月 互選+飛岡光枝選

caffe kigosai 投稿日:2021年6月7日 作成者: mitsue2021年6月8日

〔連中〕あきえ 都 良子 昌子 桂 雅子 光尾 すみえ 涼子 裕子 弘道 隆子 勇美 粗笠 利通 光枝

*お詫び* 投句欄4番の句の一字「掴」が?になっていました。大変失礼しました。お詫びいたします(店長)

≪互選≫
あきえ選
7 てきたうに相槌打つて冷奴 良子
19 学友と傘寿祝いの新茶汲む 昌子
24 香水の残り香に負ふ深手かな 隆子

桂選
22 幸せが跳ねて弾んで小鹿かな 雅子
34 薄暑めく踝ほどの川遊び 利通
41 面影は鱒二に似たり夏帽子 隆子

良子選
9 ひと休み世を遠くして飲むラムネ 昌子
17 夏服や藍色深き有磯海 裕子
20 繰り言は生きてる証冷奴 都

裕子選
2 おかつぱを振つて飛び散る夏の海 勇美
21 見つからぬ身の置きどころ毛虫かな あきえ
41 面影は鱒二に似たり夏帽子 隆子

都選
11 マンゴーの熟るる匂ひや走り梅雨 雅子
12 ランドセルが弾んで行くよ梅雨晴間 涼子
29 石楠花に雨ぽつぽつと峠越え すみえ

光尾選
9 ひと休み世を遠くして飲むラムネ 昌子
26 初夏や標どほりに山の寺 良子 
37 八十路背広着て見る衣替 弘道

すみえ選
11 マンゴーの熟るる匂ひや走り梅雨 雅子
13 ワレワレハチキュウジンナリ熱帯夜 勇美
14 一寸の胡瓜かがやく花の先 涼子

勇美選
10 ふるさとは持ち重りする夏蜜柑 あきえ
11 マンゴーの熟るる匂ひや走り梅雨 雅子
20 繰り言は生きてる証し冷奴 都

伊藤涼子
2 おかつぱを振つて飛び散る夏の海 勇美
10 ふるさとは持ち重りする夏蜜柑 あきえ
40 蔓薔薇からみて静かなる真昼 光枝

雅子選
1 頼もしや義士より多し日傘骨 粗笠
7 てきたうに相槌打つて冷奴 良子
46 瑠璃蜥蜴水口はやも乾きけり 利通

弘道選
20 繰り事は生きてる証し冷奴 都 
29 石楠花に雨ぼつぼつと峠越え すみえ
34 薄暑めく踝ほどの川遊び 利通

粗笠選
7 てきたうに相槌打つて冷奴 良子
29 石楠花に雨ぽつぽつと峠越え すみえ
30 田植え機の去りて田水の澄み初むる 裕子

昌子選
2 おかつぱを振つて飛び散る夏の海 勇美 
7 てきたうに相槌打って冷奴 良子
11 マンゴーの熟るる匂ひや走り梅雨 雅子

隆子選
10 ふるさとは持ち重りする夏蜜柑 あきえ
21 見つからぬ身の置きどころ毛虫かな あきえ
44 夕映えの心は詩人麦の秋 裕子

利通選
10 ふるさとは持ち重りする夏蜜柑 あきえ
24 香水の残り香に負ふ深手かな 隆子
41 面影は鱒二に似たり夏帽子 隆子

≪飛岡光枝選≫
【特選】
かはほりや運河傾くダルマ船 利通

夕闇迫るころに飛び交う蝙蝠。運河を往くダルマ船に夏の疲れが漂います。「傾く」にある不安感も「蝙蝠」に通じます。原句は「かわほりや運河に傾くダルマ船」。仮名遣いは作者の自由ですが、この句会は旧かな遣いで統一しています。

サイダーや今だけ君を独り占め 桂

サイダーを飲む喉元から目が離せない恋の句。「今だけ」がせつない。某飲料メーカーにぜひ売り込みたい一句です。

ふるさとや持ち重りする夏蜜柑  あきえ

強い酸味と苦みがある夏蜜柑は近年人気を落とし、甘夏蜜柑などがもてはやされています。そんな夏蜜柑は確かにふるさとへの思いに通じます。「持ち重りする」が秀逸。原句は「ふるさとは持ち重りする夏蜜柑」。助詞を消して散文から韻文へ。

昭和今明治のやうに夏の雲  弘道

司馬遼太郎が『坂の上の雲』で描いたように、近代日本へ向かう明治の勢いはどこまでも上る夏雲のようでした。「明治のやうに」と思い切った省略がいきいきとした句に。「昭和今」は、気持ちはわかりますが理屈に落ちてしまいます。例えば「湧き上がり明治のやうに夏の雲」のようにストレートに。

瑠璃蜥蜴水口はやも乾きけり  利通

田へ水を豊かに流していた水口の泥が乾きはじめ、日照りを予感させる季節。てらてらと輝く瑠璃蜥蜴が不安感を煽ります。上五の季語と中七下五が響き合う取り合わせの句です。

【入選】
ここ夜市手掴みで食うメロンかな  都

メロンのおいしさが伝わります。苦労された「ここ夜市」ですが、もう一苦労(工夫)を。「夜市の灯手掴みで食ふメロンかな」などなど。

てきたうに相槌打つて冷奴  良子

相槌を打つ方も打たれる方も冷奴をつつきながら。ここは冷奴でないといけない場面です。

ひと休み世を遠くしてラムネ飲む  昌子

「世を遠くして」が上手い。原句は「ひと休み世を遠くして飲むラムネ」。だらだらと最後まで続けないように。

マンゴーの熟るる匂ひや走り梅雨  雅子

「マンゴ」は栽培地域は限られますが夏の季語。上五中七はしっかり描写できていますが、「走り梅雨」が季語としてあまり効いていない。「マンゴ」の句として再考を。

ランドセル弾んで行くよ梅雨晴間  涼子

原句は「ランドセルが弾んで行くよ梅雨晴間」。「が」で句が散文になってしまいます。「晴間」が理屈、季語再考を。

ワレワレハチキユウジンナリ熱帯魚  勇美

意欲作ですが、原句の「熱帯夜」では茫洋としてしまいます。「熱帯魚」は一例ですが、より具体的に。

石楠花に雨ぽつぽつと峠越え  すみえ

夏山登山でしょうか、石楠花の咲く頃の様子を丁寧に描きました。

田植ゑ機の去りて田水の澄みわたる  裕子

田植えが済んだ安堵感が伝わります。原句は「田植え機の去りて田水の澄み初むる」。

湯上りの枝豆ぷりつと顔を出し  光尾

ゆでたての美味しそうな枝豆を描きました。「顔を出し」が嬉しそう。ビール!ですね。

箱庭や鶫のこゑを遠近に  隆子

箱庭に鳥の声を取り合わせた新鮮な句ですが、「遠近に」が少々わかりにくい。「鶫の声の真上より」など言いたいことをより明確に。

髪染めて甲飾らん皐月晴  粗笠

『おくのほそ道』斎藤別当実盛のオマージュ。ご自身を鼓舞するように「皐月晴」としたところが上々。

面影は鱒二に似たり夏帽子  隆子

少しぱっちゃりとした丸眼鏡の井伏鱒二。帽子はカンカン帽でしょうか。「面影」とあるので「似たり」は取る工夫を。

夕映えて詩人のこころ麦の秋  裕子

麦畑を染める夕日に心までもが染まるようです。原句は「夕映えの心は詩人麦の秋」。

  

ネット句会(6月)投句一覧

caffe kigosai 投稿日:2021年6月1日 作成者: mitsue2021年6月7日

☆「ネット句会」専用の投句、選句欄が出来ました。

6月「ネット句会」の投句一覧です。【投句一覧】から3句を選び、参加者はこのサイトの横にある「ネット句会」欄(「カフェネット投句」欄ではなく、その下にある「ネット句会」欄へお願いします)に番号と俳句を記入して送信してください。選句締め切りは6月4日(金)です。みなさんの選と店長(飛岡光枝)の選はこのサイトにアップします。

【投句一覧】
1 (岐阜和傘の骨四十八本と聞いて)頼もしや義士より多し日傘骨
2 おかつぱを振つて飛び散る夏の海
3 かわほりや運河に傾くダルマ船
4 ここ夜市手摑みで食うメロンかな
5 サイダ-や今だけ君を独り占め
6 ジュ-ンベリー今朝も勝者は小鳥たち
7 てきたうに相槌打つて冷奴
8 バラ大輪やはり女王陛下かな
9 ひと休み世を遠くして飲むラムネ
10 ふるさとは持ち重りする夏蜜柑
11 マンゴーの熟るる匂ひや走り梅雨
12 ランドセルが弾んで行くよ梅雨晴間
13 ワレワレハチキュウジンナリ熱帯夜
14 一寸の胡瓜かがやく花の先
15 堰越えて車道も越えて梅雨出水
16 夏空やかもめの翼流線形
17 夏服や藍色深き有磯海
18 街は雨六月ひらく赤き傘
19 学友と傘寿祝いの新茶汲む
20 繰り言は生きてる証し冷奴
21 見つからぬ身の置きどころ毛虫かな
22 幸せが跳ねて弾んで小鹿かな
23 甲羅干す子亀の前をあめんぼう
24 香水の残り香に負ふ深手かな
25 詩を語るしづかな眼青嵐
26 初夏や標どほりに山の寺
27 昭和今明治のやうに夏の雲
28 照り返し母の笑顔や田植笠
29 石楠花に雨ぽつぽつと峠越え
30 田植え機の去りて田水の澄み初むる
31 湯上りの枝豆ぷりっと顔を出し
32 廃線の跡を辿るや青嵐
33 梅雨夕焼つかのま廚の手とめて
34 薄暑めく踝ほどの川遊び
35 麦秋の褐色まぶし越日和
36 箱庭や鶫のこゑを遠近に
37 八十路背広着て見る衣替
38 髪染めて甲飾らん皐月晴
39 百合の香や夜のオフィスの融解点
40 蔓薔薇からみて静かなる真昼
41 面影は鱒二に似たり夏帽子
42 矢車草おかつぱ動くかくれんぼ
43 矢車草まず筆頭に風渡る
44 夕映えの心は詩人麦の秋
45 葉柳やマスク姿の黙黙と
46 瑠璃蜥蜴水口はやも乾きけり
47 冷やし酒京漬物を皿に盛り
48 鈴蘭よ聖母マリアの青色吐息

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十七回 2026年4月11日(土)13時30分
      (原則第二土曜日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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