浪速の味 江戸の味〈四月〉 ホンビノス貝(大蛤)【江戸(東京)】
春の行楽のひとつ潮干狩。その昔は江戸では品川、大阪では住吉の浜が名所とされていました。どちらも埋め立てられ現在はその面影はありませんが、東京湾には潮干狩が楽しめる場所がまだいくつか残っています。
潮干狩で採取するのは主に蛤と浅利ですが、東京湾では近年ホンビノス貝もその対象となっています。
原産分布海域が北アメリカ大陸の大西洋岸であるホンビノス貝は、食用としてアメリカ西海岸はじめヨーロッパなどにも移入されていましたが、日本では1998年に千葉県の幕張海岸で見つかったのが最初でした。原産地である北米大陸から船舶の船体に付着したか、バラスト水に混ざって運ばれたかなど諸説あります。
その形状から当初は「シロハマグリ」「大ハマグリ」と呼ばれていましたが、味の良さと安価なことから「ホンビノス貝」の名は広まり、千葉県ではブランド水産物に指定して新たな江戸前の貝として供する店も増えています。
写真はホンビノス貝の炭火焼き。「大ハマグリ」と呼ばれるだけある大きさと肉厚の身は食べ応えたっぷり、春の磯の香りが口いっぱいに広がります。
在来種との関係などこれから調査が必要な貝ですが、浅利、蛤が激減している現在、新しい江戸前がうまく定着することを願っています。
弁当を鳶にさらはれ潮干狩 光枝
