今月の料理(二月)_巣籠り
子供の頃、一年中で一番嫌いな月が二月でした。クリスマスもお正月も楽しい時は過ぎ、寒いばかりでなんのイベントもない地味な二月。今でこそバレンタインがありますが、昔は豆撒くらいで夕飯の目刺の頭を柊の枝にさし、味もついていない炒った大豆をぽりぽりと年の数だけ食べた思い出があるくらいです。
その地味な二月の良さに気づいたのは俳句に親しくなってから。日脚も伸び、時折にじんだような空の色に春の兆しが見えると心に余裕が生まれてきます。まだ芽吹かない枝の先に、四十雀などが来て枝から枝をわたる動きをみていると、まるで自分の身が軽くなったようで嬉しくなります。
鳥と言えば日本に渡って来た白鳥や鴨などは、そろそろ帰る用意を始めているのでしょうか。鳥達にとって巣を作り子供を育てる地がふるさとだとしたら、燕などは日本がふるさとのはず。そう考えると春は「燕来る」ではなく「燕戻る」になるのでしょうか。
そんな事を考えながら今月の料理は鳥の巣籠りです。これは鳥が巣に玉子を産んだような形をみたててつけられた名前で、材料などに決まりはないようです。簡単につくるならフライパン一つでできますが、ジャガイモを本当の鳥の巣のように作ってそれを器にし、いろいろ盛り付けると普段のお料理も少しご馳走栄えがするかもしれません。
【作り方】
ジャガイモを細長く刻み小麦をまぶしておきます。
ベビーリーフは洗って水を切り、玉子をゆでます。
ここでは写真用にゆで卵にしましたが、温泉玉子の方がポテトとの馴染がよいようです。
金笊に切ったジャガイモを貼り付けるようにして、180度の油で揚げます。
狐色に揚ったら塩をふって紙に取りべビーリーフと玉子を盛り付けます。
ジャガイモの器ごとお好みのドレッシングをかけて崩して頂きます。
玉子だけでなく、いろいろ盛って楽しんでください。
【分量】
じゃがいも芋 一個
ベビーリーフ 一つまみ
玉子 一個
小麦粉 適量
揚げ油 適量
塩 胡椒 少々
高枝に大きな古巣春の月 善子