今月の料理(10月)_新米に
新潟は今稲刈りの真最中。実った稲は機械であっという間に刈りとられてしまい、今では刈り取り機がその場で稲を脱穀までしてしまいます。空に突き出された煙突のようなものから、さらさらと玄米が出てくる仕組みです。これを見たときは正直驚きましたが、二、三年もするとほとんどの農家の方がその機械で稲を刈っています。雨で倒れた稲もなんなく刈り取られ、数日でほとんどの田を刈り終えてしまいます。素人にはわかりませんが、稲を干すと言うひと手間が完全に抜けているのです。
昨日も家の前の田圃で稲刈りが行われていました。この田圃の主は無口ですが、実に勤勉な方で暑い最中も田の見回りを欠かさず、炎天下畔の害虫を焼いたり枝豆の苗を間引いたりとよく働く方です。了解を得て刈り取った稲を一掴みいただきに田に降りたのですが、その時の甘い香りにびっくりしました。瑞々しく甘い香りはご飯を炊いた時の匂いです。それが、刈り終えて数時間もすると、田の匂いは新藁の匂いと変わってしまうのです。一時この甘い瑞々しい香りは実に新鮮な驚きでした。
今月の料理は新米ですが、このままで美味しいものをさらに美味しくするのは至難の業です。そこで、ちょっといたずら。
どのお宅にもあるパン粉。これと豚のひき肉をオイルとバタ―で炒めふりかけにします。たかがパン粉ですが侮る事なかれ、パン粉のいためた物はイタリアでも、シチリア風などと呼ばれパスタやサラダによく使われているようです。
【作り方】
パン粉の倍の量の豚肉を用意します。
フライパンにサラダオイルをいれ、ひき肉を炒めます。
肉の色が変わったら醤油を入れ、パン粉とバターを入れてさらに炒めます。
全体にさらさらになってきたら、醤油と酒を加え味を調えて炒め上げます。
分量はお好みで大丈夫です。健康に心配なければバターを多めに。お肉より断然パン粉が美味しいのが不思議です。ニンニクのみじん切りを加えオリーブオイルで作れば、パスタにもサラダにも合います。
三百年家を守りて今年米 善子