à la carte_紙漉
11月の末に、吉野山で紅葉句会がありました。これまで花の吉野山に親しみ、花見客がつめかけるにぎやかな景が印象に残っていましたが、冬を迎えた吉野は、静かな山里の趣があり新鮮でした。山桜はほとんど散っていましたが、楓など他の木々の紅葉を楽しむことができました。
二日目の朝の句会を終えた後思い立って、句友三人と吉野紙づくりをしている「国栖(くず)の里」に行きました。中千本からタクシーに乗り、約30分で到着。雲ひとつ無い晴天で、漉いた紙を板に貼りつけて干している光景が、目に飛び込んできました。紙の白がまぶしい!
許可を得て、写真を撮っていたら、「和紙に糊付けをしているのを見ますか?」と声がかかりました。喜んで、その作業をみせてもらいました。
なんと、バケツの糊は、蒟蒻芋からつくったものです。八十歳の和紙づくりの名人が、板戸サイズの板に貼りつけた大きな水色の和紙に、蒟蒻糊を掌で丹念に塗り込んでゆきます。楮100パーセント。藍で染めてあるとのことです。和紙に糊を浸透させることによって、少々の雨なら大丈夫という、耐久性が生まれるそうです。
とても、気さくな方で、昔の紙づくりのことや、紙漉き歌まで聞かせてくださいました。冷たい水で紙を漉くのは、重労働です。その歌の哀しい調べに、和紙づくりの大変さが胸に迫ってきました。これまで以上に、和紙を大切に使おうと思いました。(洋子)
今日も紙干して明るき国栖乙女 田畑美穂女
