カフェきごさいネット投句(12月) 飛岡光枝選
水墨の世界。
迷ひなき真紅の表紙日記買ふ 勇美
紅の表紙に新しい一年への思いを託して。しっかりした句の形がいい。
【入選】
鯖街道奥より大原時雨けり 弘道
京の時雨の感じがよく出ているが、この句の場合、地名がうるさい。「鯖街道奥より時雨来たりけり」。
下仁田ネギ太く短かき甘さかな 涼子
「短かき甘さ」となる語順がよくない。「下仁田ネギ短く太き甘さかな」。
まつさらな朝や真白き葱きざむ 勇美
朝ごとの新たな思い。「まつさらな朝や真白き葱きざみ」もある。
焼葱を剥くや怒りの湯気立ちて 隆子
焼葱に「怒りの湯気」は少し強すぎるか。
冬霧や湖埋めぬ陽も白し 和子
冬の霧に鎖された静かな世界。を整えたい。「白き陽や冬霧湖を埋め尽くす」など。
【投句より】
「下京や葱あをあをと河岸の籠」
下京の葱の青さはいいのですが、「河岸の籠」までいうとかえって葱の存在が薄れてしまいます。
「読経の漏れ来る障子尼の寺」
「尼の寺」が説明になってしまいました。「読経の漏れ来る尼の障子かな」など焦点を絞る工夫を。
「のつそりと進む怪獣花アロエ」
花アロエを怪獣にたとえた愉快な句ですが、アロエの花の様子に「進む」はあまり合わないのでは。