朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」7月
今月の「カフェきごさい句会」の兼題は、サイトより季語「瓜」料理「パプリカのマリネ」花「亜麻」です。
【特選】
夏帽子列なす八時十五分 涼子
広島へ原爆が投下された昭和二十年八月六日八時十五分。句は慰霊に参列する人々の夏帽子であろうが、昭和二十年当日、会社へ学校へ向かう人々の夏帽子も思われる。「列なす」が重く響く。
亜麻の花ストーンヘンジへつづく道 涼子
巨石が形作るイギリスのストーンヘイジ。謎が多い先史時代の遺跡と、大昔から衣服に利用されていた亜麻とが呼応する一句。亜麻の青い花が荒涼とした大地に揺れている情景が浮かぶ。「つづく道」もいい。
【入選】
点滴も粥も慣れたり梅雨明ける 守彦
「梅雨」そのものではジメジメしていけない、「梅雨明け」がいい。
まつすぐに落ちてまばゆし凌霄花 勇美
ボリュームのある鮮やかな花ならではの最後の姿。夏の花らしさが出た。
青々と胡瓜を浮かべ冷スープ 涼子
美味しそうな夏の句。「美味しそう」は大切。
先導の誇りの汗や鉾動く 弘道
「動く」としてまさに動きが出て、いきいきとした一句になった。
背負ふ子に握らせておく胡瓜かな 隆子
少し前の子守の情景。句の内容からすると「握らせておく」をもう少し軽やかにしたい。「背負う子の握りてしづか胡瓜かな」など。
兜太死す秩父の野歌忘れめや 守彦
「野歌」は句の作者の創作だそうだが、なかなか。
川風の蹴上げてゆくや麻のれん 勇美
暖簾を通る風を愉快に表現。「ゆくや」の切れが強すぎて風がそこで止まってしまう。風通しよく「川風の蹴りあげてゆく麻のれん」など。
宵山や吾子肩にのせ人の中 弘道
しっかり出来ている句だが、祇園祭の句としてはたくさん詠まれてきた情景。ぜひ、より先の句を目指して。
すこやかな母の寝息や真桑瓜 光枝