朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」(九月)
新宿朝日カルチャーセンターの「カフェきごさい句会」。今月の兼題はサイトより、季語「虫」、花「葉鶏頭」、江戸の味「新蕎麦」です。
【特選】
新涼や中折れかるく銀座まで 守彦
かるみの一句。地名の「銀座」もよく効いている。
ひとしきり叩いて次へ鉦叩 隆子
流しの門付になぞらえたような一句。底を流れる哀れさ。
故郷の友故郷の新酒を汲まんとや 弘道
友人が新酒を誘うだけでは句にならないが、「故郷の新酒」がいい。「を」不要、「故郷の友故郷の新酒汲まんとや」。
【入選】
生きるとは鳴きつづけること残る虫 涼子
この世に生きるもの共通の宿命。
生涯やカッと柘榴の割るる頃 隆子
「頃」とすると理屈が勝ってしまう。「生涯やカッと柘榴の割るる音」など。
大徳利芒投げ入れ月を待つ 守彦
当然一献かたむけながら。「投げ入れ」がいい。
大阪の女となりて船場汁 隆子
原句は「女となりし」。どちらにしても「大阪の女」は付きすぎ。
打ち寄せる真紅の波や鰯雲 和子
夕焼けに染まる鰯雲。「打ち寄せる」に迫力がある。
新蕎麦や箸割る音のあざやかに 勇美
「あざやかに」が分かるようで分からない。「かろやかに」など。
新蕎麦を信濃の水で洗ひおり 弘道
「洗ひおり」ではもたついて蕎麦が伸びてしまいそう。「走り蕎麦信濃の水で洗ひけり」。
毬栗の罅ぜたき空の高さかな 隆子
「毬栗の罅ぜたる空の高さかな」。普通に述べたほうが伝わる場合が多い。
かまつかに入日はなやぎ閉園す 勇美
「閉園す」とまでは言いすぎ。
剥製に目醒めのけはひ野分の夜 勇美
野分の空気感を捉えた一句。この句の場合「夜」がダメ押し、「野分かな」など。
雨宿りと言うて一枚走り蕎麦 光枝