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今月の季語〈一月〉 初詣

caffe kigosai 投稿日:2023年12月20日 作成者: masako2023年12月24日

先月に続き、「行事」を見ていきましょう。今月は「新年」の歳時記です。 宮中行事などの自ら実行するわけにいかないものは、ひとまず外すとして、いくつの季語となじみがありますか。

どの土地に住んでいても、誰もが体験する「行事」は、

初詣 七福神詣 「初+干支」のお詣り(例・初寅) 「初+神様仏様」のお詣り(例・初天神)

といったお詣り系でしょうか。〈初護摩〉〈初弥撒〉という参加型の行事も挙げられそうです。

日本がここに集る初詣                      山口誓子

橋越ゆるたびに明けきし初詣               福田甲子雄

〈初詣〉には決まった社寺へ詣でる派と、その年の恵方にあたる社寺に詣でる派がありそうです。後者には〈恵方詣(ゑはうまゐり)〉という季語もあります。

恵方とはこの道をたゞ進むこと              高浜虚子

墓のまへ突つきつてゆく恵方かな           黛 執

前句はめでたさのど真ん中を突いていますが、後句は、縁起の良いほうへ進むはずが……という、いささか屈折した句です。新年の句はひたすらめでたく詠めといわれますが、笑いを呼ぶのもめでたさの一つの型といえましょうか。

また京都の方には〈初詣〉より、〈白朮詣(をけらまゐり)〉のほうがポピュラーかもしれません。大晦日の夜から元日の明け方に祇園の八坂神社に詣でることです。「をけら火」を吉兆縄に移し、消えないようにぐるぐる回しながら持ち帰り、元朝の支度に使うのです。

白朮火の一つを二人してかばふ            西村和子

〈七福神詣〉は七日までに七福神を祀る寺社を巡ることです。

七福の一福神は鶴を飼ふ                  山口青邨

恵比寿さまに詣る〈十日戎〉(五日や二十日であることも)、新年最初の巳の日に弁天さまに詣る〈初弁天〉〈初巳(はつみ)〉、同じく毘沙門天に詣る〈初寅(はつとら)〉など、干支や神の名が入り交り、なかなかに賑やかといえましょう。

大阪の遊びはじめや宵戎                     長谷川櫂

舟着きも靄の佃の初巳かな                 長谷川春草

また、正月八日は〈初薬師〉、十三日〈初虚空蔵〉、十六日〈初閻魔〉、十八日〈初観音〉、二十一日〈初大師〉、二十五日〈初天神〉、二十八日〈初不動〉と初縁日の日程が決まっています。市が立ち衆生が集う、昔は殊に娯楽を兼ねてもいたことでしょう。

初観音逆白波を踏みわたり                黒田杏子

めでたさも迷子を告ぐる初大師         森 澄雄

初不動江戸のむかしの力石                戸板康二

「行事」の項には、忌日の季語も並んでいます。それぞれ信奉する相手によって修する忌日が変わってきますが、あまねく人気なのはこの方ではないでしょうか。

鎌倉右大臣実朝の忌なりけり              尾崎迷堂

引く波に貝殻鳴りて実朝忌                 秋元不死男

〈若菜摘〉や〈左義長〉など家庭の匂いの強い季語は「生活」の項に入っています。併せて確認しておきましょう。(正子)

今月の花(十二月)蕪

caffe kigosai 投稿日:2023年11月27日 作成者: mitsue2023年11月28日

明治生まれの父は蕪が大好きで、蕪の茎や葉、油揚げなどと一緒に炊いたものを(ああ蕪の季節になったな!)と、湯気がまだ少したっている小鉢からおいしそうに食べていたのを思い出します。蕪はどう料理してもおいしいね、というのも父の口癖でした。

日本書紀にも登場し、春の七草のスズナというのは蕪のこと。古くから知られている日本の野菜のひとつです。種類も多く聖護院蕪から作られる千枚漬も楽しみです。

蕪はアフガニスタン原産、また地中海沿岸原産と種類があり、ヨーロッパでは初めは家畜の飼料として使われていたようです。

いけばなの仕事で今まで数えきれないほど行っているフィンランドでこの6月、はじめて蕪料理を頂きました。寒い北欧というイメージがあり、根菜類といえばまずじゃがいもを想像していました。あとで聞くとじゃがいもは1720年代にドイツ方面からフィンランドに入ってきて、スエーデンとプロイセンの戦い【ポメラニアン戦争】(1752-62)の後、より食べられるようになったと言われています。

じゃがいもより前から食べられていた蕪は、日本の蕪と味も似ていて大きさも普通スーパーに並ぶ蕪と変わりません。ただ6月に蕪があったのは北の国だからでしょうか?

フィンランドのヘルシンキでは、日本のお寿司の看板を何軒も見かけました。もともと海と接しているこの国の人たちは、魚を上手に食べます。先日門下のフィンランド人とそのグループで神楽坂の居酒屋に集まりましたが、秋刀魚がおいしいと皆さんお箸できれいに食べていて、合間には蕪の漬物も召し上がっていました。

そしてこの国では今、野菜中心の料理が注目を浴びています。ヘルシー志向はここでもブームになっていて、有名なシェフの野菜レストランもあります。

ソースにカシューナッツや黒い豆、野菜の芽を飾りにちりばめたフィンランドの蕪料理は、日本でもはやるのではと思わせた一品でした。あの味を探しにまたフィンランドに行ってみたいと思います。

蕪といえば、ロシアに「大きな蕪」などの童話もあり、料理や歴史など掘り下げていけば面白いことがたくさん出てきそうで興味は尽きそうもありません。(光加)

浪速の味 江戸の味 12月【豚まん】(浪速)

caffe kigosai 投稿日:2023年11月27日 作成者: youko2023年11月27日

今年は11月上旬までは夏日もあり「夏日最長記録」の年でしたが、ここにきて一気に寒くなってきました。あわててコートを出しました。寒くなると、温かいものを食べたくなります。湯気が立っている「豚まん」もその一つです。大きめの中華まんじゅうです。豚ミンチと玉葱のみじん切りを砂糖、醤油、香辛料等で味付けしたものを中華まんじゅうの生地でくるみ、まるめて蒸し上げたものです。

大阪には、この「豚まん」で有名な店があります。戦後、難波に誕生した店がいまでは、あちこちに出店しています。関西圏のみの店舗展開なので、空港や主要な駅の改札近くの店には、大阪みやげに豚まんを買い求める長い列ができています。私も時々買っています。蒸したての豚まんは、ほかほかでおいしいです。好みで辛子をつけて食べます。

コンビニの出店が相次いだ頃、レジのところに中華まんじゅうの保温ケースが置かれているのを見て、不思議に思ったことがありました。「あんまん」「肉まん」と表示されていました。「あんまん」は餡子入りとわかるのですが、「肉まん」は、牛肉のミンチが入っているのかなと思っていたら、実際は、豚肉だったのでなぜ「豚まん」と言わないのかなと思ったものです。

関西では肉とだけ言えば牛肉なのですが、関東では鋤焼や肉じゃが、カレーなどにも、豚肉がよく使用されていることを知るにつけ、肉=牛肉とは限らないことがわかりました。豚肉は豚と呼んでお好み焼きはじめ、さまざまな料理に使っています。

全国展開するコンビニによって、「関東炊き」を「おでん」というようになったり、全国統一された呼び名がひろがりました。でも、その土地に根付いている呼び名は大事にしたいと思っています。

豚まんや湯気もろともにかぶりつき   洋子

今月の季語〈十二月〉 クリスマス

caffe kigosai 投稿日:2023年11月17日 作成者: masako2023年11月19日

冬の歳時記の〈行事〉のところを開いてみましょう。いくつの季語となじみがありますか? 多少でもイメージの湧く季語を仲冬に限って抽いてみますと、私の場合は、

五節の舞、開戦日、秩父夜祭、義士の日、神楽、王子の狐火、報恩講、臘八会、大根焚、クリスマス

これに加えて、終大師(しまひだいし)や大祓(おほはらへ)などの歳末・年越関係の季語、青邨忌のような忌日の季語…といったところでした。皆さまはいかがですか?

〈開戦日〉は自身の体に覚えはありませんが、後世へ伝えるために詠み継ぎ、読み継ぐ季語と思っています。

開戦日が来るぞ渋谷の若い人                大牧 広

十二月八日よ母が寒がりぬ                    榎本好宏

今のご時世で意識すべきは、終戦日より開戦日かもしれません。大牧広の句は、開戦日=十二月八日にとどまらず、そのまま警鐘としてとらえることができます。

〈報恩講〉(親鸞の忌日を修する法会)は縁あって参じたことがあります。コロナ禍のころでしたから、規模も小さく、人出も少なく、「本物」には遠かったかもしれません。ただ、当時私は、足の骨にヒビが入る生涯初の事態に見舞われ「けんけん」で参ることになったものですから、参じる人の「心」は感じ得た気がしています。

わが代の限りは門徒親鸞忌                   大橋桜玻子

俳諧の他力を信じ親鸞忌                       深見けん二

実感が大切なのはどの季語にもいえることですが、行事の季語は殊に、個々人の体験の有無が大きくものをいいそうです。

〈クリスマス〉は中でも傍題が多く、例句も膨大です。宗教の行事に留まらず、市井の暮らしへの定着度がよくわかります。

一人来てストーブ焚くやクリスマス            前田普羅

へろへろとワンタンすするクリスマス            秋元不死男

ここに酸素湧く泉ありクリスマス              石田波郷

どの句も「一人」のクリスマスです。一句目は後から誰か来るかもしれませんが、今は一人。二句目は、ワンタンには少年時代の思い出がまつわると自解していますが、クリスマスらしくないことを自覚しています。三句目は酸素吸入をしないと生きられないのですから、確かに命の「泉」ですが、切なさも限りなしです。これらはむしろ特殊で、

クリスマスツリー地階へ運び入れ               中村汀女

ヴェール着てすぐに天使や聖夜劇               津田清子

降誕祭終りし綺羅を掃きあつめ                   福永耕二

子へ贈る本が簞笥に聖夜待つ                       大島民郎

見つめよと置くともしびやクリスマス          千葉皓史

あれを買ひこれを買ひクリスマスケーキ買ふ  三村純也

パーティの準備、後片付け、贈り物の用意、…と、こちらがよく知っている、クリスマスらしい景でしょう。

トラックを停めて聖樹を売り始む              坂本宮尾

また駅の時計見上ぐる聖菓売                     菊田一平

聖樹売、聖菓売本人の句ではありませんが、立場を変えるとこんな詠み方も。

さて今年はどんなクリスマスの句を詠みましょうか。(正子)

第八回 カフェきごさいズーム句会報告

caffe kigosai 投稿日:2023年11月12日 作成者: mitsue2023年11月12日

毎月1回ズームで行う「カフェきごさいズーム句会」、今月の句会報告です。
今月から添削例も併記しました。参考にしてください。
この句会はどなたでも参加可能です。ご希望の方は右のご案内から、どうぞ。

第八回 2023年11月11日(土)
飛岡光枝選(  )は添削例 

第一句座 
【特選】
堂々と老い山茶花の白が好き        前﨑都
(堂々と老い山茶花の白愛す)
これよりは佳き日重ねむ返り花       藤倉桂

【入選】
七五三晴れ着のままに眠りけり       斉藤真知子
小春日や茶の湯の会へ人の列        花井淳
鶏頭を剪るにすこしの勇気かな       斉藤真知子
(鶏頭を剪るにすこしの勇気欲し)
秋の空飛行機雲の迷ひなし         藤井和子
(秋の空飛行機雲の迷ひなく)
近づいてやつぱり咲いてゐる柊       葛西美津子
(近づいてたしかに咲いてゐる柊)
立冬や煮豆ことこと終日          藤倉桂
診察を待つ窓の外冬紅葉          早川光尾
(冬紅葉診察を待つ窓の外)
秋晴れを掴みて吾子の初立つち       藤井和子
冬立つ日空澄みわたり術後の目       前﨑都
(術後の目立冬の空澄みわたる)
太秋柿由来知らねど良き名なり       前﨑都
雪ばんば今日は一斉下校といふ       高橋真樹子
綿虫のむらさきいろのあたたかし      高橋真樹子
ぴゆうと風吹きて三つ星濃くなりぬ     伊藤涼子
熊よけのラジオ流れる露天風呂       村井好子
舟寄せて浮島の松手入れかな        矢野京子
(ぎいと舟寄せて浮島松手入れ)
足場組むハンマーの音今朝の冬       村井好子
シャコサボテンごま粒ほどや花の精     伊藤涼子
(シャコサボテンごま粒ほどの莟つけ)
稲架掛けや父と息子の息合ひて       早川光尾
(稲架掛けや父と息子の息合はせ)
再びのサイレン聞こゆ今朝の冬       赤塚さゆり

第二句座(席題、白鳥、セーター)
【特選】
出来上がらぬ夫のセーター三年目      村井好子
(出来上がらぬ夫のセーター三十年)

【入選】
湖に眠りし白鳥の夢いくつ         斉藤真知子
(湖に眠る白鳥夢いくつ)
新しきセーターに猫甘えくる        斉藤真知子
セーターのトンネル抜ける赤ん坊      高橋真樹子
夕闇につがいの白鳥いよ白し        藤井和子
(夕闇につがひの白鳥いよよ白し)
白鳥も加賀の湯の里好むとや        花井淳
温きかなまだ編みかけのセーターよ     藤倉桂
セーターの裾を掴みて離れぬ子       矢野京子
思ひ出を消すごとセーター解いてゆく    前﨑都

浪速の味 江戸の味(十一月)千歳飴(金太郎飴)【江戸】

caffe kigosai 投稿日:2023年10月30日 作成者: mitsue2023年10月30日

十一月に入ると、神社やお寺には七五三詣での着飾った親子が見られるようになります。子どもの成長を祝うこの行事は、江戸期に関東で始まったものが京都、大阪でも行われるようになり、全国へ広まったということです。

七五三に欠かせない「千歳飴」は、元禄時代に浅草の飴売りが売り出した「千年飴」から始まったとされています。細長い形は長生きに通じ、紅白の飴が松竹梅や鶴亀など縁起の良い絵が描かれた袋に入っています。子どもが持てる袋に入れたのは大正解で、誰が発案したのか知りたいものです。子どもが千歳飴の袋を引き摺るように持つ可愛らしい様子は、俳句でもよく詠まれます。

水飴と砂糖を材料とする千歳飴は、大人になってからすっきりした後味を滋味と思うようになりましたが、子どもの頃はあまり惹かれることもなく、私のご贔屓は不二家のミルキー千歳飴でした。一粒でも美味しいミルキーが長い棒になっているなんて、まるで夢のようだと思ったのをよく覚えています。

写真は、東京都台東区根岸の「金太郎飴本店」の千歳飴。同店の初代が明治の初めころ露天商として飴を売り出し、金太郎飴は二代目が”組飴”の技術から発案したとのことです。

組飴は大阪では「おかめ」や「福助」の絵柄が作られていましたが、関東で人気の「金太郎」を絵柄として大ヒット、飴の名称としても定着しました。子どもの元気な成長を願う七五三の千歳飴には、熊をも投げ飛ばす金太郎はぴったりではないでしょうか。

千歳飴にぎつて眠る父の背  光枝

今月の花(十一月)落花生

caffe kigosai 投稿日:2023年10月30日 作成者: mitsue2023年10月30日

子供の頃、落花生は木の枝から下がっていると思っていました。

咲いた花の花びらはすぐに落ちますが、子房が伸び土の中にもぐっていき落花生になります。落花生はアンデス原産ということです。

秋の花展のテーマが発表されたのは夏に入ったころでした。いけるのはいけばなに必要な三つの要素である 線、色、塊 の中から一つを選んでの制作も可ということでした。この中から「塊」を選択。しかし塊をテーマとするいけばなは、内に秘める力強さを表すために多めに花材を用意して、塊を作る、と注意が。

落花生の生命力の強さに心惹かれ、旬の「おおまさり」という落花生ををいけてみようと長野の農家の知り合いの畑から送っていただく手筈を整えました。子供のころから不思議だった落花生をこの機会に手元でしげしげと見たかったので葉と根が付いたものを注文しました。

数日後、ずっしり重いすこし湿った段ボール箱を開けると新聞紙の中に青々した葉にうずもれた茎に下がる大小の落花生!!

その日から私の落花生との格闘がはじまりました。根から垂れ下がる細い茎の部分を残しながら秋になっても青々とした葉を取るのは時間がかかり同じマンション在住の門下にも‘出動‘を依頼したほどでした。落花生の栽培には畝を作るところから始まり、収穫までにはたいそう手間がかかり、掘り出すのにも力がいることでしょう。

食べ物を粗末にしてはいけない、という思いと花展が終わってから門下と乾杯の時につまみにどうだろうか、などと雑念がわき接着剤を使っても思うように塊のいい形にできません。

殻のひだの部分には土が残っていて 使わない歯ブラシでとってもきれいには取れません。

あと一週間に迫った花展に、うごめいているような落花生の殻の集まりだけではなんだか気味が悪いので、赤と緑の秋色あじさいを追加として花店に注文しました。美女と野獣に見えたらいいなあ、と独断で。

いけこみの二日前、作った塊には今一つ迫力が必要と感じました。農家にはもうなく、代わりに通りがかったカフェにおおまさりが売られていたのをおぼえていたので調達。ベランダで天日干しにしましたがいけこみ当日触ってみるとまだ手には湿り気を感じたのです。会場のデパートのいけこみは遅い午後。キッチンのフライパン二つを使い、乾煎りをして水分を少しでも飛ばそうとしました。

手のかかった落花生は展覧会で皆さんの興味を引いたようです。今年の晩秋は落花生に振り回されて過ぎていきました。(光加)

第七回 カフェきごさいズーム句会報告

caffe kigosai 投稿日:2023年10月30日 作成者: mitsue2023年10月30日

毎月1回ズームで行う「カフェきごさいズーム句会」、今月の句会報告です。
この句会はどなたでも参加可能です。ご希望の方は右のご案内から、どうぞ。

第七回 2023年10月21日(土)

飛岡光枝選
≪第一句座≫ (当季雑詠)
           
【特選】
秋の渚花のやふなる貝の殻        上田雅子
故郷への橋は流され秋出水        鈴木勇美
山一つ湖に映して走り蕎麦        高橋真樹子

【入選】
秋風やこの身まるごと入れかはり     矢野京子
山ぶだう葉陰にルビー散りばめて     伊藤涼子
寄鍋に方言おどる同級会         前﨑都
節榑の指いとほしや栗を剝く       前﨑都
蒼き空独り占めせし雪の穂高       藤井和子
赤飯の蒸籠三段秋日和          葛西美津子
百六十センチ我を超したりアワダチソウ  上田雅子
水晶や祖父の命の今年米         藤倉桂
涙して人情噺菊日和           赤塚さゆり
秋空や神は何処ぞパレスチナ       早川光尾
秋晴や顔華やげる志功の画        花井淳
ふかし藷めぐる季節のまん中で      矢野京子
鬼やんまクラーク博士の指の先      鈴木勇美
りんご狩り新種いくつか味見して     矢野京子
あちこちに国の訛りや神の旅       斉藤真知子
 

第二句座(席題、、冬隣、運動会)

【特選】
羊羹の黒きひと口冬隣          花井淳

【入選】
暗渠より鈍き水音冬近し         葛西美津子
運動会鉛筆一本三等賞          葛西美津子
運動会昼はをさまる砂ぼこり       花井淳
休日の父の薪割冬近し          上田雅子
泣きながらビリを走るよ運動会      赤塚さゆり
冬となり真つ赤なコーヒーマグを買ひ   矢野京子
冬近し沖に黒々牡蠣筏          矢野京子

今月の季語〈十一月〉 時雨

caffe kigosai 投稿日:2023年10月14日 作成者: masako2023年10月19日

木の葉を吹き散らす風が音を立て始めると、空模様が変わりやすくなり、さっと雨が通り過ぎることがあります。そんな雨を〈時雨〉と呼びます。

降る度に月を研ぎ出すしぐれかな             来山

寝筵にさつと時雨の明りかな                   一茶

来山は江戸時代の前期、芭蕉と同じころに大坂で活躍した俳人。「度に」がいかにも時雨だと思います。さっと降っては止みを一夜のうちに繰り返しているのでしょう。そのたびに月が研ぎすまされてゆく、というのです。

一茶はご存知小林一茶。信州柏原の人です。若いころは江戸へ出て俳諧の宗匠をしていましたが、この句は柏原へ帰ってからのものです。冬には雪に閉ざされる柏原に、今年も「さつと」時雨の過ぎる季節が到来したのです。蔵のような家屋に筵を敷いて寝ているのです。雨が地を叩きゆく音が直に響いてきたことでしょう。また戸や壁の隙間から、雨の光が見えもしたことでしょう。時雨を「明り」で捉えた句です。

小夜時雨上野を虚子の来つつあらん        正岡子規

根岸の庵に仰臥しながら、時雨の音を聞きとめて、虚子は今ごろ上野に差しかかったころあいだろう、もう少しだったのに、などと想像しています。

天地の間にほろと時雨かな                 高浜虚子

「あめつちのあはひにほろとしぐれかな」。雨粒がこぼれるさまを「ほろと」と表しています。最初の一粒であるかのようです。

翠黛の時雨いよいよはなやかに                高野素十

素十は虚子の弟子です。「翠黛」はみどりの眉墨。転じてみどりにかすむ山の景にも使われる語です。「はなやか」とは雨が勢いを増したのでしょう。音を立て始めたと解せば、視覚と聴覚の句となります。

鍋物に火のまはり来し時雨かな                鈴木真砂女

赤多き加賀友禅にしぐれ来る                  細見綾子

真砂女は銀座の割烹料理屋の女将でした。今夜は鍋がよく出ること、と思っていたら、ほらやっぱり時雨が、という句です。綾子は沢木欣一と結婚後、金沢に住んだ時期があります。ともに生活圏に素材を得た句です。

うつくしきあぎととあへり能登時雨             飴山 實

實は金沢の四高出身。沢木に兄事した時期もありました。時雨は、能登時雨、北山時雨、などと地名を付けて使われることもあります。

しぐるるや駅に西口東口                        安住 敦

待ち合わせした相手が西口に、敦が東口に出てしまったことがきっかけとなって詠まれた句だそうです。折からの時雨にいささか心もとない気分にもなったでしょうか。

このように名句の多い〈時雨〉は初冬、すなわち十一月の季語です。〈小春日和〉も十一月限定の季語でしたね。時雨、木枯・凩も同じく十一月限定。「あたたかき十一月」の印象はありますが、冬は確実に始まっているのです。

旅人と我名よばれん初しぐれ                   芭蕉

「初」が付くと待ち焦がれた感覚が加わります。更に短い期間限定季語です。是非今のうちに降られておいてください。(正子)

 

浪速の味 江戸の味(10月)ひろうす【浪速】

caffe kigosai 投稿日:2023年9月24日 作成者: youko2023年9月25日

今年は秋暑しどころではない猛暑日が長く続き、秋はいつのことかいなと思っていたら、秋彼岸から秋らしくなってきました。「暑さ寒さも彼岸まで」とは、よく言ったものだと思います。多少落ちていた食欲も秋風とともに戻ってきました。実りの秋は美味しいものであふれています。

枝豆もそのひとつです。大豆を成熟させる前に収穫するので、きれいな緑色をしています。枝豆は鞘ごと塩ゆでにしても美味しいですが、その色をアクセントに様々な料理に使えます。水切りした木綿豆腐を崩し、山芋や卵白を加え、牛蒡、蓮根、にんじん、ひじきなどを細かく切って混ぜ,まるめて揚げたものを関東では「がんもどき」と言います。元々豆腐を使った精進料理で「雁の肉に似せたもの」ということで「がんもどき」です。

一方、関西では、「がんもどき」ではなく、「飛龍頭(ひりょうず)」「ひろうす」と言います。この名前は、ポルトガルの揚げ菓子「フィリョス」からきているとのことです。小麦粉と玉子の生地をボール状にして油で揚げ、シナモンシュガーをまぶした菓子なので、ドーナツのような感じかと思います。製法や見た目は似たところがありますが、関西で菓子でもないのになぜ「ひろうす」と呼ぶようになったのか不思議な気がします。江戸時代のポルトガル菓子に思いを馳せつつ、枝豆入りのひろうすの炊いたんと栗ご飯で秋を満喫したいと思います。秋も深まってくると、ぎんなんもひろうすの具材に加わります。

ひろうすの炊いたん秋の昼餉かな  洋子

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十七回 2026年4月11日(土)13時30分
      (原則第二土曜日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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