今月の料理(6月)_伽羅蕗
伽羅蕗を頂いた。あの真っ黒な伽羅蕗と当座煮の中間くらいのもの。鷹の爪がぴりりと心地よい。
話をしているうちに随分と高い伽羅蕗であることがわかった。水は一滴もいれず、酒と醤油だけで炊いたものだ。その酒もなんと飲んべいがよだれをたらしそうな越後村上の銘柄。醤油も遠方より取り寄せたものらしい。
蕗はどこにでもあるが、採る場所採る時期にこだわったとのこと。野にある蕗はただでも、見えないところに随分と手間と費用をかけている。もちろん美味しい。いたずらにデコレーションされたものよりも、そのものが持っている本質に触れる。それは料理に限らず、何ごとにも通じるようだ。本当の贅沢とはそういうものではないだろうか。
さて、頂いた伽羅蕗のレシピ。分量は全くお構いなし。ただ、選ぶ蕗と手順はお間違えのないように。
【作り方】
伽羅蕗に適した蕗は季節が進んだ、蕗の葉に虫食いの穴ができて、茎が針金のように固くなったくらいのも使います。
採取した蕗は皮を剥かず三センチほどに切りそろえて、二晩ほど水を替えながら真水に晒して灰汁抜きをします。その際、伽羅蕗に適さない柔らかい蕗は、切口が蛸の足のようになってしまうので、あらかじめ取り除きます。(この蕗を使っても仕上がりに問題はありませんが、見た目がよくありません)
晒しておいた蕗に錆色が出てきたら、炊き始めます
鍋に蕗がたっぷりと隠れるくらいの酒を入れます。出汁と酒でもよいでしょう。お好みで味醂を入れても。要するに好みの味を頭に描いて調味料を入れてください。お酒が苦手なら、出汁を。甘口が好みなら味醂を。そして一番肝心なところは、一回で味付けを決めないことです。必ず時々味をみて、段々に味を濃くして調えてゆくのがポイント。水分が不足したら、お酒か出汁もしくは水を加えて下さい。
鷹のつめを入れ落し蓋をして、弱火で四、五時間は炊き込みます。一日で仕上がらなければ、翌日炊いても問題はありません。蕗が固いので長時間の煮炊きに耐えられるのです。蕗がしんなりとしてきたら出来上がり。
ほとんど醤油とお酒だけで炊いた伽羅蕗は冷蔵庫で一年くらいは保存できます。それは真っ黒で本当に伽羅香のようです。
