〈カフェネット投句〉5月20日 飛岡光枝選
【入選句】
蒲公英だ風が活けたか古寺の屋根 馬淵公介
寺の屋根に蒲公英が咲いているのどかな様子。風が活けるというのがおもしろく、蒲公英ならではの句。年月を経た屋根には苔が着いたり、草が生えたりする。句の内容からして新しい寺の訳はないので「古」は不要、それどころかかえって句を文字通り古くさくしてしまうのでご注意を。
卯の花の揺らぎをゆるす瀬音かな 米津周作
水の流れる音に合わせるように、白い花が揺れている。「ゆるす」がわかりにくいので一考を。
畳紙の母の筆なる紗の羽織 光加
お母上が誂えてくださったのか、作者に譲られたのか。更衣の折などに、畳紙の文字を目にするたびにその時のことを思い出す。細やかな感情が紗の羽織の質感と呼応している。
汗かいてたかんなのぶる朝かな 篠原隆子
勢いよく伸びる筍の様子。この句で「朝」では時間が短い。「一日」か。「朝かな」とか「夕かな」などは安易に付けやすいのでこちらもご注意を。
五月雨にひとしほにほひ蕃茉莉 篠原隆子
「蕃茉莉」は香りの花。ただ、「蕃茉莉」でなくても成り立つ句。
峠越えて矢車草の村となる 中沢 肴
桃源郷ならぬ、矢車草の村。「となる」がうるさいので、「峠越えて矢車草のゆるる村」などすっきりと。
