a la carte_ふさすぐり(ユキノシタ科)

ふさすぐりのなかでもこの季節、赤房酸塊(あかふさすぐり)は、手の形のように開いた葉の下についている柄をひょいと上げると、そこに緑からオレンジ、赤へと房をなしている小さな実を見つける事があります。
その実は、内にある小さい種の存在がわかるほど透明で光を通し、その微妙な色調の繊細さに惹かれ、つい房を手に取って見とれてしまいます。けれどくれぐれもご用心。細く青い柄でつながっている房は取れやすく、そのあとには手にはなにやらべたべたとした液が。
すぐりは(酸塊)と書かれるように、小さな果実は甘酸っぱく、ブラックカラントと呼ばれる黒ふさすぐりや白ふさすぐり、また、グズベリーという名を聞けばジャムやお菓子やジュース、ドライフルーツ、リキュールなどを思い出すでしょう。カシスはスグリからできるリキュールです。
日本にあるものの中でよく耳にするスグリ属の代表はやぶさんざしです。やぶさんざしも赤い実を秋につけます。
真っ直ぐに近いすぐりの枝をいけることがありますが その夏の緑の葉と、そこからのぞいているスグリの房の色の対比の妙をみると、いつもこの過ぎていく季節のものならではと思います。
さて今宵はキンキンに冷やしたカシスソーダを、いや、すこし奮発してクレーム ド カシスにシャンパンをいれたキールロワイヤルでもーー
すぐりに、夏の夜の夢でももらうことにしましょうか。(光加)
