a la carte_はす(ハス科)

葉がよし、花よし 実もまたよし、根や種も食料になるとなれば、蓮はいいとこずくめです。蓮華座には仏が座り、東洋では高位の人から庶民まで、数々の場面で人々の暮らしを飾ります。エジプトにも古くから蓮があったことが知られています。
やがて開いて丸い葉になる巻き葉の表情、青々とした葉に吹く風、その葉にはじかれて転がる露。またピンクや白の花はそのふっくらとした形ゆえ、開くときにぽんと音がするという話の真偽が話題になります。
蓮は早くから日本にあり、中国から渡来した根はレンコンとして食用に改良されたといいます。開いたあと、やがて花びらが散り始めますが、その姿もなかなか趣があります。現れた中心の部分(花床と子包)は秋に茶色に変化して(はす)の名の元といわれているはちす、つまり蜂の巣のように何個かの穴を持った実になります。そのひとつひとつの中に種がひそんでいます。
アジアからのお土産にいただく蓮の種の甘納豆は甘さだけでなく、種のすこし苦味のあるところが美味しいところです。お土産といえばベトナムの蓮の花のお茶は、お湯をさすと蓮の花に芳香があったことを思いださせます。一口含めば 強すぎない風味が口の中になんともいえない味がひろがり、くつろいだ気分をもたらします。
大賀一郎博士が2000年前の蓮の種を発芽させたニュースには、蓮の生命力に驚嘆したものです。しかし一方で、蓮を根から切ってしまうと水が上がらず、しおれてしまいます。水蓮や黄色の花を咲かせるコウホネも同じように切り取られると自ら水を飲めません
そのため水を揚げるには水、または紙タバコをほぐして水にいれ抽出した液を小さな特別なポンプにいれ、茎にぐっと注入するのです。茎の切り口をポンプの中心にぴったり押し付けて水を送り込みながら葉の裏を見ていると、中央から葉のふちに向って血管のようにめぐらされた葉脈のなかを水が走っていき、葉の色がみるみるうちに放射状に変わっていくのがわかります。やがて葉の先からしずくがたれ始めると、水が上がった証拠なのです。
蓮の葉の水揚げの場合、私たちが(おへそ)といっている葉の真ん中の穴をしっかり抑え、下にむけながら水をいれます。さもないと、上がってきた水が霧状になってそこから勢いよく吹き出し、一瞬にして水もしたたるいい男、いい女が出来上がる、ということになります。(光加)
