朝日カルチャー「カフェきごさい」(10月)
新宿朝日カルチャーの講座「季節を楽しむ俳句入門(カフェきごさい)」。10月の兼題は「カフェきごさい」の9月の季語「虫」、料理「夕顔の実」、花「萩」です。
【特選句】
裏の畑夕顔の実や一番星 澄江
ごろりと転がる夕顔の実に、はや一番星が。秋の夕暮れの感じがよくでている。
夕顔の実の土間に転がり日の暮るる 良子
こちらは、畑からとってきた夕顔の実か。夕顔の長い一日。「夕顔の実土間に転がり日の暮れる」。
【入選句】
百姓家中庭広し萩の花 周作
農家の中庭は、重要な作業場。そこに萩が豊かに花をつけている。
蟋蟀と眠れぬ夜の長ばなし 直子
秋の虫のなかでも蟋蟀は人のくらしの近くにいる。秋の夜長のひとこま。
遅れ来る人を待ちたる萩の雨 良子
しとどに濡れる萩と一緒に、来ぬ人を待っている。萩をかき分けて愛する人に会いに行く、和歌の世界のよう。
天高くとても元気なお腹の虫 元子
内容どおり、とても元気な句。「天高しとても元気なお腹の虫」。
曲屋から馬の鼻先こぼれ萩 澄江
「こぼれ萩」が上手い。「から」は説明になってしまうので、「の」か。
夕顔に葛あん温き里の秋 隆子
少し冷える秋の初めの夕餉。「里の秋」が収まりすぎてしまった。
リスのほほふくれるほどの木の実時 光加
木の実でリスの頬ははちきれんばかり。「ほどの」が説明的。
流燈やあつまりきたる浅瀬かな 稲
「あつまりきたる」が少々まどろっこしい。「流燈の」。
汐まちの舟へ宮城野萩の風 隆子
美しい萩の風。少しきれいすぎて、実感が乏しい。
葉となつてかまきりすこし折れゐたり 隆子
かまきりの自然体の擬態。「折れゐたり」はおおげさ、「折れまがり」とか。
家の近所に瓢箪をたくさん実らせているお宅がありました。夏から秋にかけて、どんどん大きくなるのを毎日楽しみに見ていましたが、先日10個以上あった瓢箪が全てなくなっていました。がっかりして庭の奥に目をやると、ご主人が瓢箪に棒を突っ込んで中味を出す作業の真っ最中。完成した瓢箪に、何を入れて楽しむのでしょうか。さて、「カフェきごさい句会」は10月に新しい仲間も加わり、ますます充実した句会になっています。11月の兼題は「カフェきごさい」の10月の季語(渡り鳥)、料理(山葡萄)、花(菊)です。
学校の解体つづく萩の花 光枝