朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」(11月)
新宿朝日カルチャーセンターの講座「季節を楽しむ俳句入門(カフェきごさい)」。11月の兼題は「カフェきごさい」の10月の季語【渡り鳥】、料理【山葡萄ジャム】、花【菊】です。
【特選句】
弟の文は三行小鳥来る 良子
三行がいい。季語「小鳥来る」は比較的何にでも付けられるので、安直な句ばかりがたくさん出来る恐れがある。揚句のように誰かから手紙が来るという句はたくさんあるが、この句は語りすぎていないところがよかった。
喧し椋鳥三百渡りせず 直子
椋鳥の木というのがある。一斉にやってきて、ひとしきり騒ぎ、また一斉に飛んでいく。ねぐらにする場合もある。兼題は「渡り鳥」だが、この句は渡りをしない椋鳥を描いた。「喧し」から始まる句の形もよい。
【入選句】
村歌舞伎重箱に詰む菊膾 澄江
秋晴れの一日を楽しむ村歌舞伎。お昼のお弁当も少しきばって重箱に詰めていく。膾の菊の鮮やかな色が目に浮かぶ。「重箱に摘め」。
鶺鴒や川に沿ひたる遊歩道 良子
鶺鴒が、その尾で河原を叩きながらさかんに飛び回っている様子。しっかり描けている。
白菊を灯して暮るる一日かな 隆子
清潔な生活。白菊がいい。
菊人形咲き揃うまで弱き武者 光加
おもしろい菊人形の句。蕾ばかりの菊人形は確かに弱そう。「咲き揃ふ」。
山小屋に荷下す歩荷鳥渡る 澄江
重い荷物を背負い、山小屋に到着したところ。汗の額に、秋風が心地いい。山頂の遙か上の空を鳥が渡っていく。
山葡萄瀬音激しくなりにけり 良子
清流沿いの山道を登っていくにつれて、道は険しくなり、水音は激しさを増す。
赤き実も餌箱にくはへ小鳥待つ 隆子
童謡を思い出させる一句。「赤き実も」は「赤き実を」としたほうが句がしっかりする。
台風に負けるな羽ばたけ渡り鳥 元子
「羽ばたけ」が力強い。渡り鳥への応援歌。
京都へ行ってきました。紅葉は始まったばかりでしたが、町中の桜紅葉がきれいでした。出水でたいへんだった渡月橋のあたりは、見える範囲では大きな被害のあともなく、安心しました。ニュースで見た濁流がうそのように澄んだ水がとうとうと流れていました。天気は予報通りの雨。急にざーっと降ったかと思うと、さーっと上がりお日様までさします。もうお天気になるのかと思いきや、またぽつぽつと降り出します。まさに時雨でした。
紅葉ごと籠に収めて山ぶだう 光枝