〈カフェネット投句〉1月20日 飛岡光枝選
【特選】
迷ひ犬まとはりつくや枯蓮田 周作
荒涼とした冬の風景。蓮田と言ったことで、北風がどこまでも吹き渡る寒々とした平野が描けた。
大寒の梅に神通力走る 隆子
白梅。
霜柱朝のうちだけ力持ち 光加
小学二年生くらいの句の感じがいい。
山眠るかすかに動く猫のひげ 光加
眠っている猫が山のように思えてゆかい。その髭がぴくぴく動き、もうすぐ春。原句は「動けり」。
【入選】
北風に向かふ父と子凧高く 澄江
凧を揚げているのだったら、北風は背から吹いてくるのでは。
雪催ひポストに手紙落つる音 澄江
音まで言ったことで、しんとした風景が描けた。
水仙にのこりて宇陀の紙のいろ 隆子
「のこりて」があいまい。
糸杉のねじれ登りて寒の星 隆子
「登りて」が説明。「ねじれねじれて」とか。
ふたまたに分かれる道も春の泥 周作
当たり前の道の様子をシンプルに詠んで、春の泥の感じがよくでている。が、「も」では、たちまち理屈になってしまう。