今月の料理(9月)_枝豆の塩茹
一人娘 湯上り娘 おつな姫 三日月姫 しんどおり娘 やひこ娘 ゆうなよ、そして肴豆とこれは全て新潟で採れる枝豆の品種です。この他にも、あまちゃ豆 黒埼茶豆 盆かおり など調べればもっとあるに違いありません。新潟は枝豆の作付面積日本一、消費量も日本一だそうです。でも、全て県内で消費されてしまい、皆様のお住まいの辺りには出回ることはありません。
山菜も終わってしばらく立つと一番に出回るのが、早稲品種のやひこ娘。コシヒカリの何倍もの値がつきます。毎年の事ながらつい嬉しくて買ってしまうのですが、余りにも早いため、本来の枝豆の味ではなく後悔してしまいます。早稲といっても市場にたっぷりと出回った頃が一番のようです。
六月の後半から実に十月の末近く、火の気が欲しくなる頃まで楽しめる枝豆ですが、本当に美味しくなるのは、旧暦のお盆の頃からまさにお月見のあたり。甘みと香りが強く、ことに茹でたては手がとまりません。お勧めは熱々をいただく事。暖かいほうが甘みと香りが強く感じられます。
月見の関連季語に豆名月、芋名月などがありますがお月見にはぜひ美味しい枝豆を召しあって下さい。塩茹でがいちばんですが、茹で方を工夫すると一層よい仕上がりになります。普通はたっぷりのお湯を沸かして茹でますが、枝豆を入れた鍋ににコップ半分ほどの水を入れ塩をふって、一気に水から蒸し煮にすると味も甘みも逃げないようです。二、三分してよい香りがしてきたら、一つつまんで硬さを確かめ頃合を見て笊に上げれば出来上がりです。
この茹で方ですと五分以内で調理できます。
縁側で湯気あげてをり月見豆 善子