今月の花(9月)おくら
このおくらの実、あのねばねばしたところが暑さにげんなりしている体に、いかにもよさそうです。おくらはあおい科のとろろあおい属で、そのとろろあおいは根から粘液がでるということでおくらと共通項があります。花はうすい黄色の五弁の花びらで、芯は赤みを帯びた黒色です。一番の食べ頃の若いおくらの実の寸法からすれば、花はずいぶん大きく直径8センチ位にもなります。すぐにしぼんでしまうので、都会の八百屋さんでは見ることはできないのです。
おくらはさっと塩ゆでしたサラダや醤油と削り節をかける簡単な料理から、変化に富んだいろいろな調理方法があり広く食べられていますが、中にはあのぬめりがどうも苦手、とおっしゃる方もいます。
秋になり実をつける花材が次から次へと登場する前に、おくらは花市場にでてきます。
食用は緑色をしていますが、いけばなの花材用はおもに赤嶺と呼ばれる赤い品種です。
実は10センチから20センチくらいの長さになり、高さは2メーター以上になることもあります。葉はモミジの葉のように切れ込みがあります。
おくらは英語でもオクラ(okra)と呼ばれます。レデイース フィンガーズという名もあり、確かに女性の指のようにすっとして先が少し細くなっていますが、稜もありごつごつしていて、時には全体が丸まってしまったようなものもあり、エレガントな響きと実像は少し違うと思うのです。
実が茶色になり乾燥してきて6つの稜がはじけると、中はうすい黄色で種がたくさんあり、その面白い形のまま作品にいけたり、晒されて使われることもあります。その個性的な形は、作品のアクセントにもなります。
原産地はアフリカやインドという説があり、エジプトには昔からあったといわれます。私が子供のころはなかったような気がすると思ったら、日本で野菜として登場したのは昭和も後半になってからということでした。
粘り気のあるおくらの料理はいまひとつという方は今の時期、おくらを眼で味わってみてはいかがでしょうか。(光加)