朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」 (9月)
9月6日の新宿、朝日カルチャーセンター「季節を楽しむ句会入門」(カフェきごさい句会)の兼題は、サイトより【季語】蝉【料理】ガレット(新蕎麦)【ブーゲンビリア】。
【特選句】
蟻んこの畳を過ぎり我が膝に 守彦
縁先からだろうか、蟻が畳を歩いて足を登って膝までたどり着いた。蟻はご苦労さんだが、作者はそうとう悠長な人。その悠々としたところが好ましい。「蟻んこ」という言い方も句にあっている。原句は「畳過ぎり」だが、俳句は音が大切。しっかり音にも気を配ること。
満月を真中に包みガレットに 隆子
兼題の「ガレット」を詠み込み、月の句に仕上げた。料理としては、満月は卵かと思うが、美味しそうな大きな月をガレットに包んでがぶりと食べてみたいと思わせる一句。
訪ねくる男ありけり蝉時雨 稲
蝉時雨のなかを訪ねてくる男を待っている。蝉時雨という季語で、それ以外の音を消し去った。
ブーゲンビリア黒潮流る島の沖 澄江
ブーゲンビリアと島ではつまらないが、揚句は沖を流れる黒潮に思いをはせ、大きな句となった。「流る」は「流るる」。
【入選句】
かなかなや抱かれし子の眠りゆく 良子
かなかなの鳴く晩夏の夕暮れ。「眠りゆく」がいい。
ブーゲンビリア髪にかざして島巡り 澄江
「島巡り」で動きが出て、ブーゲンビリアがいきいきとした。
手作りの箸置き添へて新豆腐 良子
「箸置き」だと豆腐に遠い。手作りの箸にすると、「新豆腐」の「新」が生きてくる。
炎帝の恋するブーゲンビリアかな 隆子
「の」「かな」だと、意味があいまいになる。「炎帝が」としっかり言うこと。
ガレットに林檎酒そへよ秋の宴 隆子
秋の宴らしいご馳走。
かなかなの声に始まる朝の茶事 澄江
夏の朝のさわやかな景色。
竜胆や白も交じりて壺の中 光加
「白も交じりて」では、花の色が交ざっているともとれる。「白きも交じり」。
道別れ馬頭観音きりぎりす 守彦
「きりぎりす」が良い。「道別れ」「馬頭観音」「きりぎりす」とぶつぶつ切れるので一工夫を。
次回10月の兼題は【季語】露、【料理】枝豆、【花】オクラです。
ブーゲンビリアのそりと牛の現はるる 光枝