今月の花(11月)リンゴの実
近頃みかけないインドリンゴ。この名称の由来がインドではなくてアメリカのインディアナ州でとれたからと知ったのはごく最近のことです。
ピンクがかった白い5弁の花びらを持つリンゴの花。そのリンゴの属すバラ科の植物は多く、バラを筆頭に、ぼけ、花桃、桜の他、ナシやかりん、びわなどが挙げられます。
交配によって今のように多くの種類ができるようになったのは、日本でリンゴの栽培が盛んになった明治になってからといわれています。
リンゴの実は物語の中でここぞという時に登場することが多いような気がします。
食べてはならぬという神との約束を破ってリンゴを食べたとたん、自分たちが裸だということに気付いたアダムとイブ。ニュートンもリンゴが落ちなければ万有引力の法則に気が付かなかったのでしょう。ウイリアム テルの息子の頭に乗せられたリンゴは、これが他の果物だったら、テルの放った矢が命中し、めでたしめでたしとなったでしょうか。
最近ではリンゴといえばコンピューター会社のロゴのかじられたリンゴを思い出す人も多いのではないでしょうか。このロゴ、初めの頃はニュートンがリンゴの木の下にいるマークでした。のちに変更され、かじられたリンゴは、バイト(ひとかじりを意味する英語)とバイト(コンピューターの容量を意味する言葉)をかけたものと説明されています。
2011年この世を去ったこの会社の創業者スティーブ・ジョブス氏はリンゴのワックスを自身のジーンズで拭きとって、リンゴをまるかじりしながらロゴのデザインを考案したのでしょうか。
リンゴを勢いよくかじれるのは歯のしっかりしている若いうち。ただしよく噛まないと消化も良くありません。あわててのみこめば、喉につかえます。英語で言うAdam’s Apple(アダムのリンゴ)は急いで飲み込むあまり喉につかえて、アダムにできた喉仏から来た言葉です。
リンゴをゆっくりとかめば脳はさらに活性化し、若者は若いからこその知恵もアイデアも出る。時代の先端をゆく機器を追及したジョブス氏は意外とそんなメッセージをロゴに残したかったのではないでしょうか。リンゴでできたお酒、シードルを飲んでいるともくもくとそんな妄想もわいてきます。(光加)