今月の料理(一月)_煮凝
学生時代に仲間とよく行ったお店に「煮凍り」と書かれた品書きを見て、みんなで首をかしげた記憶があります。注文してみると白身魚の身をほぐし入れた煮凝りが出てきました。その店には「天豆」と書いたものもあり、いたずら好きの店主が勝手に品書きで遊んでいたようです。
子供の頃一度や二度は煮魚の汁が煮凝っているのを召し上がった記憶はどなたにもあると思います。あつあつのご飯にプルンとした煮凝をのせると、お魚の旨みを吸った煮汁が溶けだしてその飯の美味しかった事。おおくは夕べの食べ残しや何かの都合で夕食をとらなかった人の分のお魚が、煮汁とともにお皿やお鍋の中で煮凝っていたものでした。煮凝は肉や魚のゼラチン質が固まってできるものですから、鶏肉などでも、簡単に作ることが出来ます。
その煮凝がれっきとしたお料理であるのを知ったのはもちろん大人になってからのことです。それは子供の頃の残り物のような代物ではなく、りっぱに一品として成り立っていました。味付けもご飯にあうと言うより、酒の肴として先付けや突き出しとして用いられる事が多いようです。
今月は今が旬の真鱈を使って煮凝を作ってみました。マーケットでは切り身にした鱈がパックされています。もしその切り身が家族の人数より多いときなど、余った切り身で作られてはいかがでしょう。一日目はムニエルなどにして、翌日は煮凝にしてと、食材の使い方をいろいろ考えるのも楽しいものです。ここでは味をつけた煮魚をさっとほぐして、ゼラチンと水を加えて作りました。
【作り方】
ご自宅の味付けで煮た真鱈の切り身をさっとほぐします。
骨は取り除き、魚を煮た汁にゼラチンとぬるま湯を加え型などに流し入れ
冷蔵庫で冷し固めます。
【分量】
真鱈の切り身 一切
ゼラチン 一袋(5グラム)
ぬるま湯 250ミリ・リットル
鍋底に沈みて何の煮凝れる 善子