朝日カルチャーセンター〈カフェきごさい句会〉1月
1月10日のカフェきごさい句会の兼題は、12月のカフェきごさいより、季語「冬座敷」、料理「蓮根」、花「シクラメン」。
【特選】
老の眼に緑ひとしほなずな粥 稲
萕粥の緑が眼にいたいほど鮮やか。「ひとしほ」に思いがこもる。「なずな」は「なづな」。この句の場合は漢字にした方が一読わかりやすく、句の形も決まる。
冬座敷欄間に千鳥透かし彫 澄江
「透かし彫」がただの説明。「冬座敷欄間に千鳥遊ばせて」。
元日の梅へ潮吹く鯨かな 隆子
「海へ」はおかしい。「空へ」か。「元旦」とするとより緊張感がでる。
【入選】
初空へ散りゆく巫女の鈴音かな 隆子
「鈴音」は窮屈。「鈴の音」。
閑な身の水遣り係シクラメン 守彦
シクラメンの水遣りはむずかしいとか。閑な人だと遣りすぎる危険が?
三分ほど咲きてそのまま冬薔薇 澄江
咲きながら凍ててしまったかのように佇む薔薇。
シクラメン恋の炎の姿して 隆子
「姿して」がことば足らず。
酢蓮して火種のごときたかの爪 隆子
冷たい酢蓮に鷹の爪は印象的だが、句としては「酢蓮」と「鷹の爪」がリンクしない。「たか」が平仮名の意味は?
手焙りの遠き昭和の匂ひかな 守彦
上から下まで流れてしまっている。「手焙り」でもっと切る工夫を。
年に一度のお正月。新年の句が揃い賑やかな句会となった。が、季語の説明で終わる句が多く残念。歳時記をよく読み、季語を自分の身体に入れてから新鮮な句を詠みたい。2月の兼題は、1月の季語「寒」、料理「煮凝」、花「梅」。
夕日浴び蓮根舟を引き帰る 光枝