カフェきごさいネット投句(五月)飛岡光枝選
昔は菅の傘だった茶摘み娘も今はカラフルな帽子姿。「帽子咲かせて」に新茶の頃の弾む心が感じられる。「茶摘み」→「茶摘」。
さんざめく十戸の村や初のぼり 隆子
久方ぶりの赤ちゃん誕生か、初節句に村中の人々が沸き立つ様子。この句の場合「初のぼり」は「初幟」の方が押さえが効く。
【入選】
鯉のぼり一本だけの山の村 弘道
「一本だけ」とすると言いたいことが全て見えてしまい余韻が感じられない。「鯉のぼり一本泳ぐ山の村」。
武具飾りやさしき男の子となりにけり 涼子
「なりにけり」が冗長。「武者人形飾りやさしき男の子かな」。
昼マック空席なしやチューリップ 周作
季語が今ひとつ効いていない。「マクドナルド空席を待つ花の昼」など。
(投句より)
「細胞のきりりきりりと菖蒲の湯」
「きりりきりり」がよくわからない。感覚でとらえたことをしっかり描写すること。
「花の名を写真にとりて教えけり」
「花」は「華やかなもの」のこと。「桜」は華やかなものの代表なので季語の「花」は「桜」をさすことが多い。「花」といっても「桜」でない場合もあるが、「花」にふさわしい華やかさを感じさせなければならない。この句の「花」は季語としての働きをしていない。