カフェきごさいネット投句(十一月)飛岡光枝選
かつて訪れた思い出の地への旅だろうか。自分はもう行くことはないかもしれない。「夕刊」が効いている。
甲高く台風情報ラジオかな 周作
「甲高く」に緊迫感が漂う。「甲高く台風情報ラジオより」。
ひよんの笛吹けば木霊のかへりくる 隆子
秋の空気を鳴らすような、なつかしい音。
高々と武蔵の土を霜柱 隆子
「高々」が少し大げさ。武蔵の土を描写するなどして実感を出したい。
ヴァイオリン背負ふ子いそぐ冬隣り 弘道
「冬隣り」などの時候の季語は、多くのフレーズになんとなく合ってしまうので要注意。この句の場合「いそぐ」が季語に付きすぎている。「ヴァイオリン背負ふ子いそぐ木の実かな」などの方向で季語を考えたい。
和紙解けば松茸おごそかに出づる 涼子
とことん持ち上げられている松茸がおかしい。
【今月の投句より】
落葉散る窓辺や紅茶トーストを
「落葉散る窓辺」では狭い世界の出来事で終わってしまいます。ぜひ、紅茶トーストの香りが世界に広がるような心持で。
返り花清記に誤字を正しけり
取り合わせの句ですが、季語の「返り花」と中七下五のフレーズの関係が不明です。「清記の」?