朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」(十一月)
十一月の「カフェきごさい句会」の兼題はサイトより、季語「小春日」、料理「紅茶トースト」、花(植物)「松茸」です。
【特選】
一枚の落葉はらりとリーフパイ 涼子
リーフパイは木の葉を模して作られた洋菓子。句はそれを逆転させて今落ちた葉がまるでリーフパイのようだと詠んだ。「一枚」と具体的に言ったこと、「はらり」という的確な表現で存在感のある一句となった。
武蔵野は土あかあかと霜柱 隆子
印象鮮明な句。武蔵野の土を具体的に描写することにより、そこにある霜柱が浮かび上がる。「あかあか」ということばが霜柱に緊張感を与えている。
【入選】
石地蔵もみじ映して赤き顔 勇美
お地蔵さんに託して紅葉の美しさを讃えた。「石地蔵」と上五にしっかりと据えて成功。「もみぢ」。
山里の一夜の宿や零余子飯 弘道
句の形はしっかりと出来ているが、零余子飯と山里の宿は少々付きすぎ。
大仏に触れてあたたか小六月 涼子
大仏の大きな背中が思われる。
綿つむぐ山が眠りにつくまでを 隆子
「山眠る」の季語を活かした一句。意図が見えるのが惜しい。
タンポポの枯野に緑春を待つ 守彦
「タンポポの枯野」が印象的。幻のタンポポ。
訳ありの林檎煮る火や秋の暮れ 勇美
「林檎煮る火」がいい。「訳あり」がこの句では目立ちすぎる。普通の描写を。「傷つきし林檎煮る火や秋の暮れ」など。
熱燗や少年の夢埋めしまま 弘道
この句の場合「埋めしまま」がしっくりこない。「掘り起こす」など?
こぼれ萩ゴム底厚き登山靴 周作
山の萩葎を踏みしめていく登山靴。「ゴム底厚き」までの描写はいらないか。上五下五を無理なく結びつける中七を考えたい。
夜寒には母の蕎麦掻なつかしき 守彦
納得の一句だが、全て言ってしまったのが惜しい。「夜寒さの母の蕎麦掻うすみどり」。
風邪に良し母直伝の根深汁 弘道
「直伝」と大げさに言ったところがいい。この句の場合は「根深汁」に集約していく作りにしたい。「風邪に良き母直伝の根深汁」。
俳句は、しっかりと伝わるように詠みながら説明しすぎないことが大切。そのコツは、自分は何が一番いいたいのか考え簡潔に表現することです。
小春日の色に焼きあげマドレーヌ 光枝