カフェネット投句(一月) 飛岡光枝 選
朝の日に、枝に積もった雪がゆるんだのだろう。傍で小鳥が何かをさかんに啄んでいる。雪に隠れていた赤い実か、朝日に光る雪の雫かもしれない。
朝の陽に湯気かがやひて七日粥 勇美
新年の清潔な気が漂う一句。「湯気かがやひて」が新鮮。
【入選】
屠蘇に酔ひ七福神や幼な友 弘道
酔って陽気になる様子を七福神とは新年ならでは。「幼な友」まで言う必要はなく、またこの言葉の詰め方は無理がある。「屠蘇に酔ひ七福神か舞ひ踊る」など。
宇宙へと火の星ならむどんどかな 弘道
どんどの勢いに宇宙的な力を感じた。「火の星ならむ」がわかりにくい。「宇宙へと火の星となるどんどかな」。
左義長の闇巻きあぐる炎かな 隆子
闇を巻き上げる炎。しっかり観察し、的確に表現した。
雪月夜線路かなたに波の音 勇美
はるかなものを感じさせる。「雪月夜線路のかなた波の音」。
初日の出両手で包む雫かな 周作
両手ですくいとる瑞々しい日の出。「雫」と言い切ったのが良い。
【投句より】
「振袖に一陣の風寒の梅」
「一陣の風」など常套句は伝わるようであまり伝わらないことが多いようです。より普通のことばで新鮮な俳句を目指しましょう。もちろん使ってはいけないということではありません。
「七草のみぞれみぞれて粥のなか」
野にある草の感じは出ていますが、「みぞれみぞれて」が少々大げさ。それによって七草粥の新鮮さも少し後退してしまいました。