今月の料理(1月)_雑煮
多くの郷土食がすたれてゆく中で、今もってお雑煮ほどその地方の特色を保っているのは珍しいといえるのではないだろうか。文字面をみると「ざつに」である。これは「年神」さまにお供えした様々の食べ物のお降りを取り混ぜて煮こみ、皆でいただく事から来ている。
南北に長い日本では、北と南では採れる産物もおのずと違ってくる。それゆえ、「年神」さまのお供えはその地方によっても違いがあり、当然お雑煮の中身も違う。越後の年越しに欠かせない鮭も富山あたりでは鰤になり、青森では鱈になる。お餅にいたっては丸餅、切り餅、焼く、茹でると千差万別。要はその年に採れた物を神様にお供えして、一年の収穫に感謝し、みなでお降りをいいただく。これが雑煮の本質。
東京のお澄ましのぞうにとはちがい、越後のそれは「ざつに」に近い感じがする。大根、人参などを短冊に切り油揚げ、椎茸、お肉、蒲鉾、銀杏 などを入れ、醤油で味を付ける。欠かせないものとしては、鮭(概ねは新巻き鮭)、上越では鱈などをいれる。仕上げに三つ葉、柚子、いくらなどをのせてできあがり。野菜、肉、魚と具が沢山なので、これ一杯でも随分と栄養価が高い。