朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」四月
今月の兼題(第一句座)はサイト「カフェきごさい」より、今月の季語「花」料理「くずやき」花「菜の花」です。
第一句座
【特選】
花ふぶく若き遍路のあとさきに 涼子
「若き遍路」の心の中にも桜が吹雪いている。原句は「桜散る若き遍路のあとさきに」。より動きを出していきいきとした句を目指したい。「遍路」も春の季語だが「花」との主従がはっきりしているのでこの句の場合は問題ない。
【入選】
水うまきふる里遠く夏きざす 守彦
「夏きざす」の季語が活きている。
この里の水が一番新茶汲む
「水が一番」が曖昧。「この里の水が自慢や新茶汲む」など。
潮止り大渦きたる花筏 守彦
言葉と語順を工夫して、より花筏の動きを出したい。「海へ出んと大渦巻いて花筏」など。
菜の花の沖や露西亜へつづく海 涼子
菜の花のノスタルジーが露西亜と響き合う。「菜の花の沖は露西亜へつづく海」。
第二句座
席題「更衣」「梅雨寒」
【特選】
あをあをと母国の雨や更衣 隆子
「母国」がこの句のなかでは重い。「あをあをと日本の雨や更衣」。
白襟の少女らのゆく衣更へ 勇美
さんざめきながら初夏の風に吹かれてゆく少女たち。白い襟に焦点をあて成功。
【入選】
更衣して晒したくなき素肌かな 涼子
「更衣晒したくなき素肌かな」。
梅雨寒庭のバケツ黒々し 勇美
「梅雨寒や庭のバケツの黒々と」。
更衣へて背に翼の生ゆるごと 隆子
「生ゆるごと」が中途半端。「衣がへ背に翼の音すなり」など。
更衣眼鏡の色も新しく 涼子
更衣をして軽やかになった心持ちがよく現されている。