今月の料理(八月)ひつまぶし
「坂内さん今日うなぎが入りましたが」懇意にしている魚屋さんから電話がかかって来ました。今日は土用の丑、今年は八月一日と二回あるようです。西日本はもとより連日のこの暑さうなぎでも食べて乗り切るのもよいかもしません。
最近は少なくなってしまった個人商店ですが、とりわけ魚屋さんのありがたさは身に沁みます。素人がいくら頑張ってもなかなか美味しい魚を見分けるのは困難です。ある程度は新鮮な物を見分けることは出来ますが、脂の乗り具合や産地まではとても不可能です。そのてん魚屋さんは魚のプロ。美味しそうに見えても「それはお進めできません」とか「関鯵ではありませんが、豊後水道の鯵です」とかいろいろ教えて貰えます。例えば「北海道でも釧路の山伏鰈はブランドですので間違いありません」などと聞くとお魚も捕れるところによって随分と差があるものだなと思います。本当は八百屋さんでも、お肉屋さんでも、そんなことがあるのでしょうね。便利さと引き換えに身近な美味しい物を失ってしまったことは残念です。
さて、うなぎと言えばうな重やかば焼きですが今月の料理はひつまぶし。ご存知の方も多いと思いますが、超節約がたのひつまぶしです。昔は会合や寄り合いの折詰めに一切れ二切れと入っていたのを何となく記憶していますが、この一切れ二切れで十分楽しめます。本来のひつまぶしは一膳目はそのまま、二膳目は薬味をそえて、三膳目はお茶漬でとけっこう贅沢なようですが、我家のものは人数分のご飯に在るだけのうなぎをほぐし入れサッとまぶすだけです。後はうなぎのたれを掛け、白ごまをふって薬味の青シソと茗荷の千切りを乗せれば出来上がりです。うなぎを細かくしてしまうのでその風味がご飯全体にゆき渡るためある程度満足できるのかも、知れまん。ご飯に対してのうなぎの分量はお財布と相談の上で。また、上に乗せる薬味もお好みで。