朝日カルチャーセンター 「カフェきごさい」句会 9月
9月の「カフェきごさい句会」。兼題はサイトより、今月の季語「草の花」料理「蒸し茄子のサラダ」花「鬼灯」です。
【特選】
とんぼうの我目がけ来る面構へ 嘉江子
オニヤンマやギンヤンマのような大きな蜻蛉がもの凄い勢いでこちらに飛んで来る時がある。「面構へ」に蜻蛉のあの大きな目の貌をよく捉えており、迫力ある一句となった。
鬼灯のいつか忘るる苦さかな 勇美
鬼灯の実を鳴らすためには、中の種を上手に取らなければならない。たいてい途中で破けてしまう。上手くできていざ口に含むと、思いのほか苦い。鬼灯という少女の遊びのなつかしさと「いつか忘るる」というフレーズがよく響いて奥深い一句となった。
【入選】
ブランドの秋刀魚も骨となりにけり 涼子
庶民の魚の代表のような秋刀魚もブランド名がつく時代。そんな批判性も十分なゆかいな句。俳句には批判性が大切。
鈴虫の合唱高く闇揺れぬ 和子
鈴虫の音が闇を揺らしているという鈴虫の音の特徴をよく捉えた一句。「合唱」では句の世界と少し違和感がある。「鈴虫の声高まりて闇揺らす」など。
初茸や揚げし白さの目に沁みて 和子
新鮮な初茸が美味しそうな一句。下五をすっきりさせより白茸に焦点を当てたい。「初茸や揚げていや増す白さかな」など。
水澄むや山にまぶしき鳥の声 隆子
秋を迎えた野山を秋らしくすっきりと描いた。「水踏むや山はまぶしき鳥の声」。
吾亦紅それぞれの風それぞれに 勇美
秋の野山の植物の感じは出ているが、吾亦紅はことさら風を感じる植物ではないのが惜しい。
豊年の炊村とはよき名なり 隆子
「かしぎむら」とルビ。「の」が説明的。「豊年や炊村とはよき名なり」。ほんとうによい名前の日本の村。
古犬に添ひて歩むや草の花 勇美
「添ひて」が草の花の心持と響き合う。「古犬」は不思議なことばだか感じはわかる。「老犬」ではたしかにつまらない。
信心の秋の茄子やてらてらと 光枝