朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」1月
新宿朝日カルチャーセンターで行われる「カフェきごさい句会」。今月の兼題はサイトカフェきごさいより、1月の季語「ゆりかもめ」花「橙」江戸の味「大根炊」です。
【特選】
粗玉の大橙の如き句を 隆子
橙は「代々」に繋がる縁起の良さから正月飾りに使われる。橙の働きで句は新年の決意の一句となった。「粗玉」「大橙」と大振りのことばが新年にふさわしい。
【入選】
展帆す練習船や懸大根 涼子
大きく帆を展げてゆく船という大きな景に懸大根の取り合わせがすがすがしい一句。ことばが少し詰まりすぎて句の内容が伝わりにくいのが残念。「帆をひろげ沖を船ゆく懸大根」など。
宿り木に朝のきらめき冬木立 勇美
冬木の枝にある宿り木は目を引く。なにもかもそぎ落とした冬のアクセントのよう。
寒餅や色鮮やかに搗き上がる 弘道
青のり、桜エビなどを入れて作ることも多い寒餅。寒餅ならではの一句。
雛の家火種のごとく雪のなか 隆子
春まだ雪深い地方の雛祭り。
樹氷縫ひ空に飛び込む初滑り 和子
初滑りの「初」が活きた勢いのある一句。
丸餅やどんと座りし雑煮椀 和子
「どんと」が正月らしく目出度い。「丸餅のどんと座るや雑煮椀」。
橙の成りたる家とや道問へば 涼子
鮮やかな橙色は道案内になる。下五は不要。「橙の成りたる家と教へられ」など。
朱盃より鶴飛び立たむ初御空 弘道
「朱盃」「鶴」「初御空」と目出度いものが揃いすぎて広がりに欠けるのが残念。
恵方とはすなはち母の居るところ 隆子
この句もわかりやすすぎる。より広がり、深さがほしい。
ゆりかもめ日向の杭に止まりをり 涼子
なにげない句だがゆりかもめが見えてくる。季節感も描写できた。
はなやぎて真白きうれひ百合鴎 勇美
「はなやぎて真白きうれひ」がわかりそうで、よくわからない。より具体的に詠みたい。