カフェきごさい「ネット句会」(6月) 互選・飛岡光枝選
雅子選
風薫る巣ごもりの家開け放ち すみえ
蜘蛛の囲やけふも予定のなき日なり 良子
風評がなんの真穴子ふとりゆく 隆子
桂選
ロボットと会話ちぐはぐ五月雨るる すみえ
はつ夏のネット句会ぞ力こぶ 雅子
永平寺御堂で凌ぐ白雨かな 守彦
弘道選
海峡は雨にけぶれる桜桃忌 すみえ
日に幾たび洗ふ両手や春の暮 光枝
がらんどうの渋谷を闊歩サングラス 都
隆子選
蜘蛛の囲やけふも予定のなき日なり 良子
薫風や磨き立てたる黒座卓 南行
ロボットと会話ちぐはぐ五月雨るる すみえ
すみえ選
若竹や皮脱ぐことももどかしく 桂
スポーツ紙顔に被りて三尺寝 光尾
えごの花病鬼はいつも背後から 都
南行選
蜘蛛の囲やけふも予定のなき日なり 良子
太鼓腹膨らみ凹み三尺寝 光尾
自づから旅のこころや新茶くむ 光枝
裕子選
えごの花病鬼はいつも背後から 都
風評がなんの真穴子ふとりゆく 隆子
国病んで分けても青き梅雨の底 隆子
涼子選
風薫る巣ごもりの家開け放ち すみえ
銀シャリに穴子波うつ握りかな 隆子
初釣りの鮎空中に光りけり 弘道
和子選
海峡は雨にけぶれる桜桃忌 すみえ
バラ大輪やはり女王陛下かな 涼子
自づから旅のこころや新茶くむ 光枝
勇美選
風薫る巣ごもりの家開け放ち すみえ
がらんどうの渋谷を闊歩サングラス 都
国病んでわけても青き梅雨の底 隆子
良子選
二杯目のつまみに叩く胡瓜かな 勇美
手放せぬマスクともども更衣 南行
国病んでわけても青き梅雨の底 隆子
都選
二杯目のつまみに叩く胡瓜かな 勇美
出来たてのいか焼きあつつ緑さす 涼子
コロナ禍や耳にうれしき初燕 裕子
(飛岡光枝選)
【特選】
風薫る巣ごもりの家開け放ち すみえ
心にも初夏の風が吹きぬけます。「薫風や巣ごもりの家開け放ち」。
はつ夏のネット句会ぞ力こぶ 雅子
「はつ夏」が活きています。
きらきらと運ぶドロップ蟻たちよ 勇美
聞こえない蟻たちの歓喜の声が聞こえてくるよう。句のリズムに注意。「きらきらとドロップ運ぶ蟻の列」。
がらんどうの渋谷を闊歩サングラス 都
がらんどうが強烈です。「がらんだう」旧かなご注意ください。
永平寺御堂で凌ぐ白雨かな 守彦
夕立でかすむ御堂が見えるようです。禅寺永平寺ならではの一句。
軽鴨の子は八人兄弟波に乗る 涼子
「波に乗る」で句に命が吹き込まれました。
【入選】
蜘蛛の囲やけふも予定のなき日なり 良子
「蜘蛛の囲」が面白い反面、少々理屈が感じられるのが惜しい。
太鼓腹膨らみ凹み三尺寝 光尾
「三尺寝」としたのはお手柄。中七で切りたい「太鼓腹膨らみ凹む三尺寝」。
手放せぬマスクともども更衣 南行
マスクがいらなくなるのが本当の更衣でしょうか。
若竹や皮脱ぐことももどかしく 桂
若竹の勢いそのままを一句にしました。
瓜の花グラスに浮かべ昼の酒 勇美
涼しさは十分伝わりますが、どこかで見たかなという句ではあります。
ロボットと会話ちぐはぐ五月雨るる すみえ
ロボットと会話が弾むのも少々恐ろしい気もしますが。楽しく実感のある句。
さ緑の丘を登れば妹の家 守彦
妹御への愛情が感じられる「さ緑」です。
風評がなんの真穴子ふとりゆく 隆子
自然界の力強さ。この穴子は美味しいにちがいありません。
初釣りの鮎空中に光りけり 弘道
初鮎を釣り上げた喜び。「中空」でも。