カフェきごさい「ネット投句」(三月)飛岡光枝選
「花脊」とは、その地名が春爛漫。原句は「花脊いま摘草料理の春となる」。花脊で摘草料理といえばあの店と限定されてしまう。より世界を広げたい。
禍々しき雪崩跡なり山の泣く 和子
山笑うのを待つ季節の惨事。原句は「禍々し雪崩跡かな山の泣く」。
春スキー磐梯山の微笑みぬ 和子
上五に置いた「春スキー」が活きている。原句は「春スキー磐梯山も微笑みて」。
空色のボートでくぐる桜かな 勇美
桜の木の上から眺めているような一句。句のリズムが、ゆっくりと動くボートのよう。
神官の杜の百年朝ざくら 涼子
百年の間毎年開いてきた朝桜に思いを馳せる。「朝ざくら」がいい。
春月やひとりひとりと友の逝く 弘道
季語「春月」がよく効いている一句。「春月やひとりまたひとり友の逝く」も。
【投句より】
(海苔を掻く波荒々し日本海)
形も内容も破綻なく描けていますが、日本海の形容、海苔掻きの様子が一般的な範疇に収まってしまっているのが残念。
(朝桜あふぐ白亜の新校舎)
「あふぐ」が「朝桜」にも「白亜の新校舎」にもかかってしまい、曖昧な印象になってしまいました。作者は思い込みがあり伝わっていると思いがちですが、今一度の見直しが大切です。