浪速の味 江戸の味 六月【泉州たまねぎ】(浪速)
新たまねぎがおいしい季節です。この辺りでは、泉州(大阪南部)たまねぎと淡路島産のたまねぎが人気です。
たまねぎの原産地はペルシャ地方といわれ、古代から食べられていたようです。日本には、明治4年に米国から初めて輸入され、明治5年頃、土質の適していた北海道で栽培に成功しました。
現在の岸和田市土生町の農家に生まれ、大阪府の勧業委員をつとめていた当時19歳の坂口平三郎(1861~1897)が、明治12年9月に神戸の外国人居留地のアメリカ人からたまねぎを分けてもらい、自宅の土塀のわきに植え付けたのが泉州たまねぎの始まりです。明治初期の農村は、それまでの米納から現金で税金を納める仕組みに変わりました。平三郎は、収益の上がる新作物の導入に努めていました。自力で試験農場を開設し、たまねぎの採種栽培を試みました。そして、農業雑誌を通してたまねぎの有用性と栽培法を全国に広めました。そして、品種改良をしたたまねぎは明治30年には泉州地方の特産品になりました。
たまねぎの主成分は、糖質が約8%。約90%は、水分です。特有の刺激性の香気は、硫化物、アルデヒドなど。硫化物は、辛味があるので、たまねぎを切ると硫化物が揮発して目を刺激して涙が出ます。硫化物は、加熱すると甘味の強いプロピルメルカプタン(砂糖の50倍~70倍といわれる)に変化するので甘味が増します。
洋食に、和食に、中華料理にと甘味、辛味を生かしていろいろ使えますが、この季節の瑞々しい新たまねぎは生食がお勧めです。三杯酢に漬けた新たまねぎはサラダにあえ物にと重宝します。
朝食のたまねぎサラダ輝いて 洋子