桜の満開情報が届く季節になりました。コロナ禍のため、集まっての花見を控えていた人々も、今年は久しぶりに家族や友人と花見を楽しまれることでしょう。
毎年、吉野山で花の句会を行っていたのですが、ここ三年は中止になっていました。今年は四年ぶりに吉野山で花の句会を開催します。花時の吉野山は押すな押すなの賑わいです。さらに今年は久しぶりに吉野山へ花見に出かける人が多いので、四月上旬の吉野山の人出はいかばかりかと思います。
吉野山は、奈良県中央部にある標高455メートルの山で、吉野山・高野山から熊野にかけての霊場と参詣道が世界遺産に登録されました。吉野山は、金峯山寺の門前町として開け、花時には多くの観光客が訪れます。
一目千本と呼ばれ、下千本・中千本・上千本・奥千本と咲き上る山桜は見事でまさに全山花盛りになります。昔から歌や俳句に花の吉野は詠まれてきました。現在も貞室と同じ感慨を持つ人々で賑わいます。
これはへとばかり花の吉野山 貞室
みよし野は右往左往の花見かな 貞室
吉野山のみやげとして有名な吉野葛。美しい葛の花は秋の七草の一つでもあります。多年草で、晩秋に枯れますが、根っこは次の春に備え養分を蓄えます。そうして大きくなった葛の根っこが店先に飾ってあるのをみると野趣に富んでいます。
吉野葛作りは、雑菌の繁殖などが無く、品質のよい葛粉作りに適した冬の冷え込みが厳しい時期に行われます。山中から掘り出した葛の根を砕き、地下水を張った桶で攪拌します。褐色の葛が真っ白になるまで何度も水を替えて洗います。
その後、適当な大きさに割り、二か月自然乾燥し、純白の吉野本葛になります。
老舗の和菓子店では桜の花の木型を使って作った桜の葛干菓子が店頭に並んでいます。桜の蕾、葉などの型抜きもあり、菓子箱に吉野の花見の思い出が詰まっています。
久しぶりに一目千本の花を愛で、桜の葛干菓子を食べて吉野の花見を楽しみたいと思います。
み吉野の花や蕾や桜菓子 洋子