カフェきごさい「ネット投句」(五月)飛岡光枝選
天を突く落葉松若葉晴れ晴れと 和子
落葉松は落葉が印象的ですが、高い空に誇らしげに芽吹く若葉が気持ちを開放してくれるような一句です。
【入選】
水分けて出逢ふ太藺や鯉の昼 裕子
原句は「水分けて出逢う太藺を見上げるや」。太藺の水に棲む生き物になって詠んだ句と思いますが、要素が多く句の焦点が定まらないのが残念。「水分けて」はたいへん涼し気でけっこうなので、その上五をより生かし、焦点が合うよう工夫してみましょう。
新緑の海に真白き浅間山 和子
なだらかな稜線の浅間山ならではの句。浅間山に集約した言葉の運びが心地よい、しっかりした一句です。
河鹿笛亡き人恋ふて夜もすがら 和子
平安の和歌のような端正な句。こちらも句の形がいい。