朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会(八月)
新宿朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会。今月の兼題はサイトより八月の季語「秋果」、花「ブーゲンビリア」、江戸の味「谷中生姜」です。
【特選】
アトリエの静けさに盛る秋果かな 勇美
季語「秋果」は、様々な秋の果実のことです。個々の果物を詠む場合より句が散漫になりがちですが、この句は「秋果」が活きる印象的な一句です。これから絵筆を走らせるのでしょうか、アトリエを包む、秋の日をも感じます。「静けさに盛る」が秀逸。
いただきを埋めつくさんと赤とんぼ 和子
赤とんぼが数多集まるという句は見慣れていますが、「埋め尽くす」とまで言って迫力のある句になりました。シンプルな句の形もいい。原句は「いただきを埋めつくしたり赤とんぼ」。
【入選】
日盛りをブーゲンビリア花溢れ 和子
たいへんシンプルな句。花盛りのブーゲンビリアのみを詠み、読者をブーゲンビリアの日盛りに誘います。原句は「日盛りにブーゲンビリアの花溢れ」。俳句ではこの「の」は不要です。
ほんのりと色づく稲穂風渡る 和子
上五中七では当たり前すぎて句になりませんが、「風渡る」で一気に稲穂が生き生きと動きはじめました。
亡き父の友より届く秋果かな 勇美
ご仏前に届いた果物だと思いますが、何年後かにご家族へ届いた贈り物のようにも感じます。父上のお人柄が偲ばれる一句です。
はじかみを噛んで幼き目に涙 勇美
大人が美味しそうに齧っているのを真似してしまったのでしょうか。少し早かったですね。食卓にはじかみがある、秋のひと日。
しんかんとブーゲンビリア基地の町 光枝