浪速の味 江戸の味 1月【酢茎】(浪速)
京都の漬物と言えば聖護院蕪の根を薄くスライスし、塩漬けにした後、昆布、赤唐辛子、味醂、麹等で漬けた千枚漬、大原特産の茄子や胡瓜、茗荷などを刻んで赤紫蘇の葉を入れ塩漬けにした柴漬などが有名ですが、酢茎も人気の漬物です。
蕪菜の一種である酢茎菜(すぐきな)を葉付きのまま塩漬けにし、酸味が出てくると食べごろです。京都上賀茂の特産で、冬に漬け込みます。
真言宗の開祖である弘法大師の命日が旧暦三月二十一日なので、真言宗の寺院では毎月二十一日(新暦)が縁日となります。京都の東寺でも毎月の縁日は、大勢の参詣者で賑わいます。特に十二月二十一日は、一年の締めくくりとして、終弘法(しまいこうぼう)、終大師(しまいだいし)、年明けの一月二十一日は、初弘法、初大師と呼び、境内に立ち並んだいろいろな店は、押すな押すなの賑わいとなります。
骨董品、古着(着物・帯など)、小物、手作りアクセサリーなどの店は見て回るだけでも楽しいです。小腹が減るとたこ焼、お好み焼などを食べたりもできますが、一番のお目当ては、京都らしい佃煮、ちりめん山椒、漬物の店での買い物です。冬の漬物の代表である酢茎は特に人気で、複数が出店しています。大きな樽に酢茎が漬けてあります。酢茎売りが長い茎を根の部分にくるくる巻いて売ってくれます。
発酵したほどよい酸味が魅力で、食事の最後を酢茎でしめると爽やかな後味で大満足です。
寒い日が続きますが、酢茎を食べて元気にすごしたいと思います。令和六年がよい年になりますように。
酢茎売る東寺の塔を仰ぎつつ 洋子