カメリア エリナ
「僕、この花大好き!」お稽古の時、クラスの男性メンバーが花材を包んでいた紙をとって言いました。さて何という名前の花だったでしょう?
花やさんの請求書にはカメリアとしか書いてありません。カメリアは英語で椿をさします。枝にびっしりとついている小さな花をのぞき込むと、たくさんの白い雄蕊の先に黄色い花粉がついていて椿とそっくりです。が椿にしては花が小さいのです。
ピンクがぼおっと入った白い五弁の花びらがあり、一人前の山茶花のようにも見えます。花の直径は1.5センチくらいで、下を向いて咲いている花の元には葉が花を支えるようについています。お稽古にとどけられた枝は50センチくらいの長さで枝垂ていました。そういえば去年もこの花材を使いました。蕾もたくさんついていて、花が終わってしまっても次々と蕾が開き、長く楽しめそうです。
クラスのメンバーの一人が「庭があったら植えてみたい」とおっしゃって帰っていかれましたが、すぐにこれはカメリア エリナではないかというメールをいただいたのです。
長くいけばなにかかわっているものの、知らない植物はたくさんあります。まさにこのカメリア エリナもその一つ。それもそのはず、日本に昔からある植物ではなく、1990年代に埼玉の芝道昭氏が中国の椿から作りだした園芸種でパテント商品、つまり許可なしに商業ベースでの栽培は禁じられているのです。植物の著作権ということでしょうか。日本名は姫山茶花といいます。「姫」とつけば本来あるものに比較して小型なものを意味しますが、この植物も椿に似てるというのは当たっていて、椿科でつばき属でした。また、カメリア エリナでも枝が垂れ下がるものはカメリア エリナ カスケードという名がつけられているそうです。
カメリア エリナは生け垣にも適していて、新芽時は葉が赤くなりこれも楽しめそうです。入学したての小学一年生が元気に列になってこの花の咲いている生け垣を過ぎていく、そんな光景がこの花をみていると目に浮かびます。
散りゆく桜をおしんでいる頃、自然はあちこちでまた愛らしい花を咲かせていくのです。(光加)