浪速の味 江戸の味(7月)冷し飴【浪速】
大阪や京都、関西の夏の飲み物の一つに「冷し飴」があります。「冷し飴」は「飴湯」を冷したものです。
「飴湯」は、水飴を湯で溶かし、生姜の絞り汁や肉桂を加えた琥珀色の飲み物です。水飴は、麦芽に含まれる酵素アミラーゼで、でんぷんを分解して得られる糖類で、粘液状のやさしい甘さが魅力です。砂糖の三分の一程度の甘さです。
「飴」は『日本書紀』にも「無水造飴」とあり「水無しで飴を造る」ということは水飴が奈良時代にはあったようなのです。これは米水飴で発芽玄米中の糖化酵素を用いて作ったようです。現在の水飴は、効率のよい麦芽を使うことが多いそうです。
米水飴、麦芽水飴は、ミネラルやビタミンを含み、食欲増進、消化を助ける効用があります。健胃剤の生姜や肉桂を加えて作った「冷し飴」は効能からもまさに暑気払いにぴったりです。天秤棒を担いだ飴湯売りのいた昔に思いを馳せ、冷し飴を味わって飲みたいと思います。
コロナ禍の夏の備えぞ冷し飴 洋子