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今月の季語(四月) 牡丹

caffe kigosai 投稿日:2019年3月17日 作成者: masako2019年3月28日

立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花、とは美人の形容ですが、ここに登場する三種の花はどれも夏の季語です。

このうち芍薬と牡丹は花の形が似ています。中国では芍薬を「花の宰相」、牡丹を「花の王」と讃える呼び方があるそうです。ともにボタン科ボタン属の花ですが、芍薬は「草」、牡丹は「木」です。

つまり、芍薬は多年草の草本なので去年咲いたのと同じ場所に今年も咲きますが、冬の間は枯れて地上には何もありません。春に地中から芽を出し、新しく伸ばした茎の先端に大輪の花をつけます。牡丹は落葉低木なので、冬の間も葉をすっかり落とした姿が地上にあります。ただし厳冬期に咲くように栽培し〈寒牡丹〉として鑑賞することがあるのは、ご存知のとおりです。

関東圏に住む私の感覚としては、牡丹は晩春に咲き、ゴールデンウィーク過ぎには散りきっています。芍薬はもうすこしゆっくり、ときに初夏の雨に打たれたりもしながら咲くイメージですが、いかがでしょうか。

ぼうたんと豊かに申す牡丹かな   太祇

左右より芍薬伏しぬ雨の径         松本たかし

花期が早まっている昨今、今月は牡丹の動向に注目してみましょう。

すこし季節を巻き戻しますが、牡丹は早春、まだ寒いころに枝の先に真っ赤な芽を噴き出します。〈牡丹の芽〉、春の季語です。

誰(た)が触るることも宥(ゆる)さず牡丹の芽   安住 敦〈春〉

一寸にして火のこころ牡丹の芽    鷹羽狩行

葉を繁らせるとともに蕾も大きくふくらんでいきます。

牡丹百二百三百門一つ       阿波野青畝〈夏〉

これは高野山金剛峯寺での作とのこと。山の上ですから、下界より気温の上昇が遅く、この年二度目の牡丹鑑賞となったようです。

ぼうたんの百のゆるるは湯のやうに   森 澄雄

こちらは湘南での作。実際には花期が過ぎていたそうですが、作者のまなうらには花盛りのさまが揺らめき立ったのでしょう。

年々歳々牡丹は咲き、私たちは観賞を重ねて来ています。現実の、眼前の景のみがすべてなのではなく、心の中に咲く花を重ね合わせてみると、あらたな境地が開拓できるかもしれません。

火の奥に牡丹崩るるさまを見つ     加藤楸邨

 

「五月二十三日、夜大編隊侵入、母を金沢に疎関せしめ上州に楚秋と訣れ、帰宅せし直後なり、わが家罹災」と前書があります。防空壕の出入り口付近に牡丹があったそうですが、このとき牡丹は咲いていたでしょうか、それとも……七十年以上前とはいえ、五月も末の東京では、既に花期は過ぎていたと私は思っています。が、紅蓮の炎を新たな花として、牡丹は崩れ落ちたのではないでしょうか。

かつて私の母が空襲体験を「夜空を降ってくる焼夷弾の炎を、幼な心の不謹慎さかもしれないけれど、綺麗だ、と逃げるのも忘れて一瞬見とれた」と語ったことがありました。「燃えあがる家から、からうじて脱出してふりかへると、牡丹は、火の中に崩れてゆくところであった」という楸邨に、見とれる余裕はそのときは無かったかもしれませんが、このように詠み下された光景に、読者はおののきながらも一瞬うっとりしてしまいます。

大和の長谷寺、当麻寺は古来より牡丹の寺として有名ですが、みちのくは須賀川の牡丹園もその広大さにかけては東洋一と言われます。聞くところによると、牡丹は切り詰めないと人の丈を越す大株に育つのだとか。

須賀川はまた〈牡丹焚火〉でも有名です。原石鼎によって知られるようになり、冬の季語として定着したのは昭和五十年代と言われています。

煙なき牡丹供養の焔かな      原 石鼎〈冬〉

みちのくの闇をうしろに牡丹焚く  原  裕

音もなくあふれて牡丹焚火かな   黒田杏子

すすみ出て牡丹の榾を投じけり   同

(正子)

 

「カフェきごさい」 ネット投句(二月)

caffe kigosai 投稿日:2019年2月26日 作成者: mitsue2019年2月27日

【特選】
春しぐれ比良の山なみ隠しけり  弘道

冬のはりつめた空気のなかではくっきりと見えていた比良の山々。まだ雪残る山並みを煙らせて、ささやくように降る春の雨。

温めずし花をいざなふ雨となり  隆子

湯気につつまれてより色鮮やかな錦糸卵やきぬさやが春を誘う。

【入選】
梅の香の我埋め尽くす峠道  和子

峠道にさしかかったとたんに梅の香りに襲われた。「梅の香や我埋め尽くす峠道」。

芽柳の影をゆらして棹をさす  涼子

芽ぶいた柳も川浪もゆれる春の日。「棹さして芽柳の影ゆらしけり」。

蒸し寿司の碗ほのぼのとあたたかし  涼子

春を待つあたたかさ。

昨日とはちがふ水音ねこやなぎ  勇美

日に日に春の足音が高くなる。

白鮠の斑のすがしさよ龍太の忌  隆子

すっきりした鮠の姿が龍太の俳句に通じる。

桃の酒酌むやまぶしきとも白髪  隆子

桃の酒の明るさがいい。

浪速の味 江戸の味(三月) 花見だんご【言問団子(ことといだんご)・江戸】

caffe kigosai 投稿日:2019年2月25日 作成者: mitsue2020年7月28日

日一日と陽射しが春めいてくるこの頃、そろそろ気になるのが今年の桜です。先日発表になった開花予想によると、東京の桜は三月末には満開を迎えるようです。

この時期の和菓子といえばまず思い浮かぶのは「桜餅」ですが、その桜餅の発祥の地として名高い長命寺のほど近くに「言問団子」の店があります。

「名にしおはばいざ言問はん都鳥我が思ふ人はありやなしやと」在原業平の和歌にちなんで名づけられた団子の店は、隅田川に架かる言問橋より少し川上、桜橋と白鬚橋との間に楚々とあります。江戸末期、郊外の景勝地として知られた向島を尋ねる人々の求めに応じて手製の団子と渋茶を呈したのがこの店の始まりとか。

団子は白、黒、淡い黄色の三色で、どれも内側からほのかに春の光がもれているような上品な色をしています。色の上品さと対照的なのはその大きさです。さすが労働者の町江戸らしく大振りで食べ応えがあり、これこそ江戸前と思う所以でもあります。

江戸の花見の名所としての墨堤は上野、飛鳥山より後発ですが、堤を歩きながら、また舟からと、他ではなかなか味わえない花見ができると昔も今も多くの人を集めています。

浅草寺に近い吾妻橋から言問橋、桜橋と堤を遡ると、花見の最盛期でも人の数は徐々に減っていきます。そぞろ歩きの疲れをいやしてくれる花見だんごで一服しているうちに、春の陽ざしは傾いてゆきます。

花びらの降りかかりくる団子かな  光枝

今月の花(三月) 黄梅

caffe kigosai 投稿日:2019年2月21日 作成者: koka2019年2月21日

紅梅や白梅はよく知っているけれど、さて黄梅はと聞かれると、はて?という方もおいでかもしれません。黄梅はモクセイ科のそけい属で、梅という字はついていますが梅はバラ科に属すので黄梅とは近縁とはいえません。

春に先駆け黄色い花を咲かせる蝋梅、山茱萸、万作、そしてれんぎょうなどの花木の列にこの黄梅も加わります。花は字のごとく黄色で 前述の花木の花たちの中では一番鮮やかで明るい黄色ではないでしょうか。蕾の先が六つに分かれて平たく咲く2センチすこしの花は、四つの稜のある緑色の枝の上に咲きます。高さはせいぜい1メートルくらいにしかなりませんが枝は緩やかな曲線を描いて垂れさがります。落葉樹である黄梅は中国では旧正月近くに咲くので迎春花と呼ばれ、日本には江戸時代に入ってきて庭木として栽培されています。

黄梅の英名は冬のジャスミンをさすwinter jasmine(ウインタージャスミン)ですが、黄色い花にジャスミンのような香りはありません。夏に咲くジャスミンのように愛らしい小さな冬の花という意味を含むのでしょうか。

黄梅は、もう少し季節が進むと黄色い小さな花をさかせる「そけい」と同じ属です。いけばなでは、この「そけい」をよく使います。花材としては緑の葉をたっぷりつけた中に咲く下向きかげんの小さな黄色い花は初夏の花といってもいいでしょう。

黄梅の名がある、「雲南黄梅」という名の蔓そけいは「黄梅もどき」ともいわれ、長い緑の蔓が美しく、いけばなの展覧会で見かけることがあります。

ある時、花のついた蔓そけいだけを使い、大き目の鉢に水をたっぷりと張っていけ、美しい緑の線を自由自在に空間に遊ばせていた作品がありました。ほかには何の花材ももちいていない潔さが蔓そけいだけの持つ美しさを際立たせていて、きれいだなとみとれました。

黄梅が咲いているのを見ると、いよいよ冬に別れを告げ、その先にある春の様々な花たちの光景をやっと思い描くことがでるようになったと実感する頃なのです。(光加)

朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」1月

caffe kigosai 投稿日:2019年2月19日 作成者: mitsue2019年2月19日

新宿朝日カルチャーセンターで行われる「カフェきごさい句会」。今月の兼題はサイトカフェきごさいより、1月の季語「ゆりかもめ」花「橙」江戸の味「大根炊」です。

【特選】
粗玉の大橙の如き句を  隆子

橙は「代々」に繋がる縁起の良さから正月飾りに使われる。橙の働きで句は新年の決意の一句となった。「粗玉」「大橙」と大振りのことばが新年にふさわしい。

【入選】
展帆す練習船や懸大根  涼子

大きく帆を展げてゆく船という大きな景に懸大根の取り合わせがすがすがしい一句。ことばが少し詰まりすぎて句の内容が伝わりにくいのが残念。「帆をひろげ沖を船ゆく懸大根」など。

宿り木に朝のきらめき冬木立  勇美

冬木の枝にある宿り木は目を引く。なにもかもそぎ落とした冬のアクセントのよう。

寒餅や色鮮やかに搗き上がる  弘道

青のり、桜エビなどを入れて作ることも多い寒餅。寒餅ならではの一句。

雛の家火種のごとく雪のなか  隆子

春まだ雪深い地方の雛祭り。

樹氷縫ひ空に飛び込む初滑り  和子

初滑りの「初」が活きた勢いのある一句。

丸餅やどんと座りし雑煮椀  和子

「どんと」が正月らしく目出度い。「丸餅のどんと座るや雑煮椀」。

橙の成りたる家とや道問へば  涼子

鮮やかな橙色は道案内になる。下五は不要。「橙の成りたる家と教へられ」など。

朱盃より鶴飛び立たむ初御空  弘道

「朱盃」「鶴」「初御空」と目出度いものが揃いすぎて広がりに欠けるのが残念。

恵方とはすなはち母の居るところ  隆子

この句もわかりやすすぎる。より広がり、深さがほしい。

ゆりかもめ日向の杭に止まりをり  涼子

なにげない句だがゆりかもめが見えてくる。季節感も描写できた。

はなやぎて真白きうれひ百合鴎  勇美

「はなやぎて真白きうれひ」がわかりそうで、よくわからない。より具体的に詠みたい。

今月の季語(三月)朧

caffe kigosai 投稿日:2019年2月18日 作成者: masako2019年2月19日

〈霞〉も〈朧〉も空気中の細かな水の粒や埃によって見通しが悪くなることを指す春の季語です。同じ現象を、日中は霞、夜間は朧と呼びます、と、このコーナーでも既に一度取りあげています。

その際に、霞は天候、朧は情緒を表すという思い込みをしていることが意外に多い、とも書きました。霞も朧も「天文」の章にある季語であり、昔から詩歌に詠まれてきたのはむしろ霞のほうである、と重ねて申し上げておきましょう。

ではありますが、語にまつわる柔らかな、あるいは曖昧模糊としたイメージは、天文にとどまらぬ情緒を呼ぶようです。その傾向は、夜の要素が加わる朧に強いようにも思われます。今月は、季語として働かせつつ、気分(のようなもの)もまとわせている例を見ていきましょう。

どんな死となるやわが身の末おぼろ  倉橋羊村

「おぼろ」以外に季語となり得る語がないので、これを季語として読み取っていくことになります。句意は明白ですから、作者の身を置く時間帯を意識すればよいでしょう。即ち、夜です。もわっとした闇の色の空気の中で考える図、となりましょう。

さる方にさる人すめるおぼろかな   久保田万太郎

門川の夜々のおぼろとなりにけり   安住 敦

艶聞の多かった万太郎と妻子大事の敦の句です。万太郎の句は「さる方」「さる人」が既に模糊としていますが、さらに「おぼろ」と重ね、思わせぶりな演出です。敦の句も住まいと「おぼろ」の取り合わせですが、日中には無い情趣に気づいた、勤め人=父の帰宅の景を私は思いました。

露天湯は乙女らが占め朧なり     堀口星眠

乙女ばかりの露天湯がクリアに見えてしまっては問題ですから、朧がよいのですが、湯気に閉ざされて見えないというより、声で判断して想像(妄想?)しているのでしょう。

過去は右へ右へ朧の絵巻物      岡崎桂子

とっさに〈あなたなる夜雨の葛のあなたかな 芝不器男〉を、というより、不器男の句への高浜虚子の名鑑賞を思い出しました。闇の「あなた」に少し明るい「夜雨の葛」の茂る景があり、その更に「あなた」に故郷がある、と絵巻物にたとえた評です。へだたりを、距離だけでなく時間で表す「絵巻物」なのでした。

おぼろ夜のかたまりとしてものおもふ 加藤楸邨

長生きの朧のなかの眼玉かな     金子兜太

楸邨、兜太(師弟)の句は今回のテーマにぴったりかもしれません。兜太の句には自解があります。「『長生きの朧』には二つの内容があって、一つは長生きとともに万事に判断力も鈍り、『おぼろ』」、もう一つは白内障で「じっさいにも視界おぼろ」だと。「その『おぼろ』に甘えようとする自分に反逆」して「眼玉」を「ギョロリと光らせているぞ」という句だそうです。兜太はいわゆる有季定型の作家ではありません。が、観念だけの作家でもありません。この眼玉は闇の奥に光ってこそなどと有季派は思いますが、どうでしょうか。

朧夜のこの木に遠き祖先あり     正木ゆう子

「木」を仰ぎ、実際に抱いた思いをもとに作った句だと思います。自分に祖先があるように、この木にも祖先があるというのですから、直接は知り得ないはるかを思っているのです。朧夜は「朧月の出た夜」と歳時記のみならず、広辞苑にもあります。〈朧〉と〈朧夜〉の示す時間帯は共に夜ですが、月の存在が明らかであるか否かが異なります。時の流れに心を放ったこの句に「朧夜」は適った季語ではないでしょうか。

師は荼毘に吾は家路に朧月      橋本美代子

水蒸気のみならず、涙でぼやけた月かもしれません。どこまで読みとってもらえるかは読み手次第となりますが、仕掛けておくのはあくまで作者だということでしょう。(正子)

本日(2月20日)福島光加さん いけばなデモンストレーションのお知らせ

caffe kigosai 投稿日:2019年2月7日 作成者: mitsue2019年2月21日

写真:小澤忠恭

「カフェきごさい」で花のエッセイを連載中の福島光加さんによるデモンストレーションが開催されます。国内外に多くの会員をもつ「いけばなインターナショナル」東京支部の2月例会は、海外でも毎年多くのワークショップを行っている草月流本部講師、福島光加さんによるデモンストレーションです。早春の一日、華麗な技とダイナミックな作品をぜひお楽しみください。(店長)

いけばなインターナショナル東京支部2月例会
《いけばなデモンストレーション》

【講師】
福島光加(草月流本部講師・師範会理事)
【日時】
2019年2月20日(水)13時~15時30分
【場所】
草月ホール(東京都港区赤坂7-2-21)
【参加費】(お菓子付き)
3,000円(Ⅰ.Ⅰ.東京支部会員)
3,500円(Ⅰ.Ⅰ.他支部会員)
4,000円(一般)
【お問合せ】
草月会 海外課
Tel03・3408・1151
e-mail:overseas@sogetsu.or.jp

「カフェきごさい」 ネット投句(1月)

caffe kigosai 投稿日:2019年1月24日 作成者: mitsue2019年2月26日

【特選】
ゆりかもめ姦しきかな神の池  涼子

波間に揺られるゆりかもめは優雅だが、ひとたび群れて餌などを取り合うと本性を発揮して獰猛にさえ見えることがある。そこが神の池であろうがおかまいはしない。

煩悩の大根煮ゆるや歓喜天  隆子

「煩悩の大根」がいい。が、煩悩は歓喜天からの発想だからなかなか思いきれないのだがこの句に歓喜天はいらない。「煩悩の大根煮ゆる湯気あげて」。

【入選】
青空に五色の雲や初芝居  和子

初芝居らしいすがすがしい青空。

妻の手の魔法のごとき年用意  弘道

「魔法のごとし」切る。年用意にはいろいろな内容がある。ぴたりとした具体的なものを探したい。「妻の手の魔法のごとしごまめ炒る」など。

手術跡しかと浮かびし初湯かな  弘道

「しかと」では説明。より心に添ったことばを探したい。「手術痕しらじら浮かぶ初湯かな」など。

【今月の投句から】
「屠蘇祝ふ子等の並びて待ちしかな」
「祝ふ」「並ぶ」「待つ」と動詞が多く句がごちゃごちゃしてしまいました。すっきりさせる工夫を。「屠蘇の膳子等はずらりと顔並べ」など。

「皮厚く剥ひて風呂吹き透きとほる」
「風呂吹き透きとほる」はいいフレーズですが、料理の手順そのままになってしまいました。「海荒るる日や風呂吹き透きとほる」など。

朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」12月

caffe kigosai 投稿日:2019年1月24日 作成者: mitsue2019年1月24日

新宿朝日カルチャーセンターでの「カフェきごさい句会」。今月の兼題はサイト「カフェきごさい」より12月の季語「葱」料理「蕎麦掻」花「花アロエ」です。

【特選】
赤き実のはみ出してゐる雪囲  勇美

これからの雪に備えての雪囲であろうが、一読雪の白に赤い実がまぶしく見えてくる。冬ごもりのなか、命のように鮮やかな赤。この句の場合、具体的な植物の名前がなくてより印象的になった。

海見えて逸る坂道アロエ咲く  涼子

「逸る坂道」の高揚感にアロエの花の赤が印象的。

音もなく雪降る村に泊りけり  守彦

雪国の夜を過ごす旅人。雪が音もなく降るという表現は珍しくはないが、そこに身を置く旅人を描いたことで深々とした一句となった。

【入選】
ゆき暮れし旅もありなん都鳥  隆子

「都鳥」の前で切れる一句。

堂々と葱は袋をはみ出せり  涼子

葱の様子を描いているが、「堂々」はまだ生煮え。「晴々と葱は袋をはみ出せり」など。

蕎麦掻や昔々のかほりして  和子

内容は蕎麦掻の説明であるが、「昔々のかほりして」のことば使いとリズムがいい。

冬ごもりアロエ咲かせて葱伏せて  隆子

兼題をうまく使ったが、奥行きには欠ける。

腕白の葱の刀に斬られけり  勇美

葱を刀にして遊ぶ句はあるが、この句は言葉の使い方がとてもいい。

ぶつ切りの白葱鍋にかぶせけり  弘道

「白」がよく効いている。

都鳥群れて離れて花のごと  涼子

白鳥で同様の句あり。都鳥ではボリュームが足りないか。

蕎麦掻や今宵は雪になるといふ  光枝

今月の花(二月) 赤目柳

caffe kigosai 投稿日:2019年1月21日 作成者: koka2019年1月24日

すっかり葉が散った枝にぽつりぽつりと芽が膨らんでいるのは赤目柳です。

枝と同じ赤褐色の小さな芽がだんだんと艶やかに膨らんでいきます。いけばなの稽古に使い始めるのはこの頃からですが、やがてぐっと大きくなった芽が、春を知らせる色とりどりの新鮮な花とともに花材として教室に届けられます。

赤目柳の別名は振袖柳。枝はとてもしなやかで、曲線を作ったり輪にしたりしていけます。のびやかな線をそのまま生かしても美しいものです。太めの枝を切り、切り口に割りを入れて剣山にとめるのも、丈の長い花器には、この柳から添え木を作り先を割って花器のなかにたて、そこにほかの枝を割って交差をさせしっかりとめることができるのも、赤目柳にたやすく裂けない「粘り」があるからで、初心者にもふさわしい花材といえるでしょう。

春の足音が聞こえてくるのはこの柳の芽の鱗片がむける頃。

ツンとした頭の膨らんできた芽を指でむくと白銀色の花穂が出てきます。若い花穂の中心はまだ少し薄い緑が残っていることがあります。やがて、自らその皮を落としていくと、猫の尾のような指触りも気持ちの良い、猫柳と呼ばれるのにふさわしい白銀の花穂が現れます。いけばなに使われる猫柳は、猫柳と山ねこやなぎとの雑種の赤目柳なのですが、猫の尾の形をした花穂をもつ柳を見ればみんな猫柳と呼びたくなります。
 
枝は陽の当った側は赤茶色ですが ひっくり返すと同じところが緑です。どこから陽がさしていたかがわかり陽表、陽裏という言葉を思い出します。

昔ハワイに行ったとき、常夏の国の花屋さんには枝ものが極端に少なかったのですが、乾燥した猫柳がきれいに穂をたもったままありました。保存の方法が悪いとぱらぱらと落ちてしまうので、何か吹き付けたのかもしれません。

柳はバケツの水の中に入れて忘れたころに引き上げると根や、さらに薄緑の葉が出てきます。生命力の特別強い柳は何か動物のような気がします。五センチくらいに大きくなった花穂は最後には中心がぼっとピンク色を帯びてきて黄色い花粉がつきます。手のひらの中にこんな穂をひとつ隠し、友達の前にパッと差し出し、虫だ!といってキャッと驚かせた子供時代を思い出します。(光加)

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十七回 2026年4月11日(土)13時30分
      (原則第二土曜日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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