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今月の花(六月)梅花空木

caffe kigosai 投稿日:2019年5月20日 作成者: koka2019年5月20日

時々入るカフェのカウンターに,その日は小さな白い花を数輪つけた四十センチほどの一本の枝が迎えてくれました。透明なガラス花器に何気なくいれられた枝についた花は四枚の白い花びらの中央に黄色い雄蕊があり、青々とした卵型の葉がたくさんついていました。

私の教室では五月の連休あけ、やや遅めの花菖蒲をいける稽古で梅花空木も併せていけました。梅の花に似ているのでこの名となり薩摩空木、五月梅ともよばれます。緩い放物線を描く梅花空木の枝を加えると、花菖蒲のすっくと立った葉の凛とした美しさに優しさと柔らかさが加わるようでした。季節が急にうつろっていくこの時期、雪のように白い花をつけた梅花空木と花菖蒲を一緒にいけるのもなかなか良いものと思いました。

黒光りしているカウンターごしにコーヒー皿を拭いているマスターに「これは何の花ですか?」と聞いてみました。「梅花空木だそうです。お客さんが軽井沢から持ってきてくれて」。連休を軽井沢ですごした常連さんが、花をとおして爽やかな空気までお土産に運んできたのだと想像しました。

質問をしたもう一つの理由は前日に稽古でいけた花と比べ、カウンターの花はやや小さかったからです。私たちが前日いけた花はそれより大きい北アメリカ原産の西洋梅花空木だったかもしれません。花屋さんで扱うのはこの種類が多いのです。

これに対し軽井沢から大事に持ってこられたのは山の中で二センチくらいの花が開く日本原産の梅花空木だったのでしょう。

梅花空木には八重咲きもあり、私のお気に入りは白い花びらの底が薄紅色の日の丸梅花空木です。

また梅花空木と似たような花を見かけたらそれは、ばら科の利休梅かもしれません。中国原産で、こちらもいけばなに使われますが明治に入ってきたものです。千利休との関係はわかっていません。枝わかれをよくして高さも三メートル以上になり、花びらは五枚で花に柄があります。梅花空木の花の咲き方に比べると花どうし密に咲いています。

梅花空木も利休梅も枝の元を水の中で切り、切り口をたたいて割れば水の上りもよくなりより長く楽しめるようになるはずです。(光加)

今月の花(五月)牡丹

caffe kigosai 投稿日:2019年4月24日 作成者: koka2019年4月25日

四月末の中国の洛陽から帰ってきたいけばなの生徒が、様々な牡丹が咲き乱れる大きな公園に行った話をしてくれました。世界中から集められた様々な色と形の牡丹が咲き誇り、夜、ホテルの窓を開けると何ともいい香りで朝起きてみるとそれは並木道のように道の両側に植えられた数えきれないほどの白い牡丹からだったそうです。牡丹で有名な奈良県の長谷寺や当麻寺とはまた違ったものだったのでしょう。花王と呼ばれる牡丹の原産地は中国といわれていますが、日本でも平安時代には栽培されていたという記述も枕草紙などにみられます。

おなじボタン科ですが牡丹と芍薬の違いの一つは葉にあります。葉には三つの切れ込みがあり、薄いのが牡丹、艶があり牡丹に比べて濃い緑の葉は芍薬です。いよいよ蕾が開くときのわずかにツンとした蕾の先の表情も愛らしいものです。

立てば芍薬、座れば牡丹、と美しい人を形容するのに使いますが、芍薬はすらりと伸び、牡丹は脇枝が横に出ます。スレンダーな美女と豊満な美女、なのでしょうか。英語では両方とも peony という言葉を使いますが牡丹はtree peony 、一方芍薬はChinese peony と呼びます。牡丹はこのようにツリーと名がつくように2メートルほどの落葉低木です。品種改良には芍薬に牡丹を接ぎ木して、美しい花を咲かせるということも行われます。

牡丹の花の華やかさは世界中で好まれ、日本でも実際に庭に植えられるのみならず屏風やふすま絵などをはじめとする図柄などにも用いられます「石橋」から題材を求めた「連獅子」などの舞台の上には華やかに作られた牡丹が登場します。

黄色や濃い紫など花弁の色は様々で、その散り方にも特徴があります。

牡丹散りてうち重なりぬ二三片  蕪村

以前、俳句のテレビ番組のゲストに呼んでいただいたことがあります。収録の時、普通の花屋さんでは入手できないので、いい機会とばかり取り寄せてもらい一輪の薄紅の牡丹をいけておきました。終わると「はい、OKです!お疲れ様でした」の声がかかり、緊張が一気にとけました。

スタジオの照明でみるみるうちに満開になっていた牡丹を、待機していた花屋さんが片付けようと手に取ったその時、はらはらと花弁が散っていくのです。「あ、よかった。終わるまでもって!」と彼は言ったのですが、カメラが回っているうちに散っていく想定外の展開も俳句の番組らしくてよかったかな、とふと思いました。

昔から今に至るまで、牡丹は多様な歴史につぎつぎとエピソードを付け加えていきます。(光加)

カフェきごさいネット投句(四月)飛岡光枝選

caffe kigosai 投稿日:2019年4月24日 作成者: mitsue2019年4月24日

【特選】
ぼうたんや風無き昼をまどろみて  勇美

牡丹の季節は風が強い。牡丹よ崩れろ、とばかりに吹く。そんな風も休むひとときがある。リズム、語順、表記、上々の一句。原句は「ぼうたんや風無き昼はまどろみて」。

一木の風の柳を身のうちに  隆子

風の柳と生きていく。たおやかな覚悟の一句。

【入選】
桜餅包みを開く花の下  涼子

花の季節の素直な喜び。原句は「花の下で包みを開く桜餅」。

春田打つ比良のお山を響かせて  弘道

原句は「比良の山崩さんばかり春田打つ」。勢いは買うが、少々大げさ。

花満天星ささやきながら眠るなり  勇美

原句は「花満天星ささやき尽くし眠るなり」。原句のままでもいいのだが、「尽くし眠る」に少し理屈が感じられる。

今日咲くと決めて開きし牡丹かな  勇美

原句は「明日咲くと心決めたる牡丹かな」。明日開くという牡丹の決意をどう探りあてたのか、謎。

浪速の味 江戸の味(五月)くず餅(江戸)

caffe kigosai 投稿日:2019年4月24日 作成者: mitsue2019年4月26日

吉野での花の句会が毎春の楽しみです。今年訪れた四月六日は、花はこれから中千本へと駆け上っていくという時期でしたが十分気温は高く、花を巡りながら冷たいものがほしくなる気候でした。道端の店には「葛餅」がいかにも涼しげに皿にもられ、夏の季語であることが納得できる佇まい。この「葛餅」はその名の通り「葛」を材料に作るお菓子です。方や、私が生まれ育った関東で馴染んでいる「くず餅」は、材料も作り方も全く違います。

関東風の「くず餅」は小麦粉を発酵させて作ります。見た目も「葛餅」の透明感はなくまさに餅の白さ。発酵食品と言われるとなるほどと思う独特の食感と風味があります。良質な小麦の産地である「下総国葛飾郡」(現在の東京都東部を含む地域)には、地名から「葛餅」と呼ばれていた菓子がもともとあり、関西の「葛餅」と区別するために「くず餅」「久寿餅」などの字を当てた、などその呼び名には諸説あるようです。

「くず餅」は東京都江東区の亀戸天神はじめ、池上本門寺(大田区)、王子稲荷(北区)、川崎大師(神奈川県川崎市)などの門前町の名物になっており、参詣のお土産に親しまれています。

「葛餅」も「くず餅」も基本の食べ方は同じで、きな粉に黒蜜が定番のようです。どちらも少し冷えていた方が美味しいですが、冷蔵庫に長く入れすぎると硬くなり風味が落ちます。食べる直前に氷水か冷蔵庫で短時間冷やすのがおすすめです。

五月の亀戸天神は藤の花がみごと。境内は見物客で溢れます。風にゆれる藤房をながめ、花の甘い香りに誘われた虻の羽音を聞くうちに少しぼおっとしてきます。そろそろ門前のくず餅屋にでも落ち着きましょう。薄暗い店内から明るい町を遠い世界のように眺めながら。

くず餅や床几の竹のひんやりと  光枝

朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」三月

caffe kigosai 投稿日:2019年4月22日 作成者: mitsue2019年4月22日

新宿朝日カルチャーセンターでの「カフェきごさい句会」今月の兼題はサイトより三月の季語「朧」、花「黄梅」、浪速の味江戸の味「花見だんご」です。
【特選】
比良の山揺れて漂ふ蜆舟  弘道

琵琶湖での蜆漁だろうか。遠景の山に抱かれた春まだ浅い景色。より印象的に「比良の雪揺れて漂ふ蜆舟」など。

花見つつ団子を買ひに舟出さん  隆子

言問団子屋の近くには渡し場の跡が残る。懐かしい春爛漫の心と景色。

光陰の裳裾おぼろに立木仏  涼子

歳月にさらされておぼろおぼろと立つ仏。「裳裾おぼろ」が秀逸。「に」を消す工夫がほしい。

【入選】
朝食のネーブルの香をまとひけり  涼子

すっきりとした句の形が内容によく合っている。よき一日。

木々芽吹く貴景勝は大関に  涼子

季語「木々芽吹く」が少し弱い。

朧夜に消えて舞子の下駄の音  弘道

「消えて」「舞子」「下駄」「音」と全て言ってしまい、朧ではなくなってしまった。

小綬鶏の拍子に春は脈打つて  隆子

「小綬鶏の拍子」が今一つわかりにくい。

春風駘蕩言問だんごに味三つ  涼子

字余りの上五の勢いが生きている。

花誘ふ言問団子雨の音  和子

上五中七はたいへん結構だが「雨の音」では団子があまり美味しそうに感じない。「雨」といえば「音」が自ずから聞こえるので「音」はよけい。

リズム良く春泥跳んで学校へ  守彦

わざわざ泥だらけになる元気な子どもの様子。

お花見は金米糖で済まさうか  弘道

「済ます」の意味がいくつにもとれるので要注意。より具体的に。「お花見は金米糖を口に入れ」など。

古き歌ふとくちびるに辛夷咲く  勇美

「古き歌」と「辛夷」は響き合うが、ことばを整理して焦点を当てたい。「古き歌ふとくちびるに花辛夷」など。

空覆ふ鬱金桜や陽を抱き  和子

「空覆ふ」に鬱金桜の様子がよく出ている。

黄梅の垣より雲南乙女かな  光枝

今月の季語(5月) 新茶

caffe kigosai 投稿日:2019年4月17日 作成者: masako2019年4月22日

お茶好きが待ち兼ねた季節が到来しました。今年の新茶はどんなお味でしょうか!

我庭に歌なき妹の茶摘かな      正岡子規〈春〉

庭に摘むのは垣根の茶でしょうか。私の故郷は茶所ではありませんが、大きな農家には決まって茶の木の垣根がありました。常緑ですから年中目隠しになりますし、嗜好品を産し、花も可愛い……実に無駄の無い昔の暮らしぶりです。

むさし野もはてなる丘の茶摘かな  水原秋櫻子〈春〉

秋櫻子は都内で産婦人科医院を開いていた医者ですから、これはプロによる茶摘です。とっさに昭和のはじめに高浜虚子とその弟子たちが行った「武蔵野吟行」を思い出し、調べてみました。一行は、昭和六年五月三十一日に武蔵野の茶所・狭山へ赴いていましたが、鈴木花蓑の記録によりますと、この日秋櫻子は不参加だったようです。ちなみにどんな句が生まれたか見てみましょう。

家毎に焙炉の匂ふ狭山かな      高浜虚子〈春〉

茶摘籠桑摘籠と置かれあり      同   〈春〉

憩ひつゝ茶をつむ音を聞きゐたり   星野立子〈春〉

一句目は「狭山」が無ければ手前味噌ならぬ手前茶の句にもなりそうなところです。狭山は当時から茶所でしたが、「家毎」という規模での茶作りだったことがわかります。二句目からは茶畑と桑畑が隣り合っている場所を思います。養蚕もごく普通に行われていた時代ならではでしょう。

三句目、立子はその「音」をどう聞いたのでしょう。というのは先行して昭和五年に山口青邨が、

つくつくと茶を摘む音のしてゐたり  山口青邨〈春〉

と詠んでいるからです。青邨もこの日の吟行に参加していましたが、茶の句は不発だった模様。「つくつく」が気になってしまったのかもしれません。

茶摘を知らない私が茶摘と聞くと、「茜襷に菅の笠」を被ったお姉さんが手で摘むさまを思い浮かべますが、今では機械摘みがもっぱらでしょう。

茶刈機は横刈り蝶も横飛びに     百合山羽公〈春〉

天龍の濁りみなぎる新茶かな      同      〈夏〉

羽公は茶所・静岡の俳人です。天龍川の濁るころが新茶のシーズンである、というのはその地の人としての感覚なのでしょう。

新茶は茶葉を指すのみならず、淹れた(液体の)茶を指すこともあります。

新茶汲みたやすく母を喜ばす      殿村菟絲子〈夏〉

ハンカチに新茶のこぼれ吸はしむる   野澤節子〈夏〉

母といえば、私の母がまだ元気だったころ、一番茶と二番茶をセットにして贈ったことがあります。母娘ともに濃いのが好みでしたので、そのときまで走りにはあまり興味がなかったのですが、「一番茶というのは香りなんだね」という母の感想に、俄然興味を引かれました。

人々と新茶ひとりの今を古茶       皆吉爽雨〈夏〉

宿の古茶持参の新茶着きて汲む     同    〈夏〉

爽雨はお茶好きであったのでしょう。お茶の句をたくさん残しています。古茶は古茶でも「宿の古茶」は相当な代物だったのかもしれません。

〈新茶〉が出るとそれまでの茶が〈古茶〉と呼ばれるようになります。封を切り立てでも〈古茶〉です。十二月に新しい暦を買うと、使用中であっても〈古暦〉と呼ぶのと同じです。

新茶出て名も夢殿の茶杓あり      大島民郎〈夏〉

これは新茶の抹茶でしょう。

ことさらに説明しなくても、茶の状態を詠み分けることができます。お試し下さい。(正子)

 

カフェきごさい ネット投句(三月)

caffe kigosai 投稿日:2019年3月28日 作成者: koka2019年4月10日

【入選】
花未だ言問団子家づとに  涼子

花を探りに墨堤へ。「花未だ」の入り方がいい。

春暁や遠き汽笛は夢の中  弘道

「遠き汽笛は夢の中」のリズムがまさに夢のよう。

闘病の終わりの知らせ花ミモザ  弘道

ミモザの黄金色が胸に沁みる。原句は「闘病の終わりの知らせミモザ咲く」。

観覧車五色溶けゆく朧かな  勇美

観覧車も人も大都会が朧の夜に溶けていく。原句は「朧夜に五色溶けゆく観覧車」。

深吉野のおぼろとなりて庵一つ  隆子

吉野は奥千本の西行庵。

かたくりは陽だまりに群れ花ゆらす  和子

春の妖精のように。原句は「かたくりや陽だまりに群れ初々し」。

今月の花(四月) しだれ柳

caffe kigosai 投稿日:2019年3月28日 作成者: koka2019年3月28日

一週間の海外でのいけばなの仕事の直後に東京でデモンストレーションを依頼されており、その当日に使う花をあらかじめ決めておくべく花屋さんに相談に行きました。

「2月後半はちょうどいい頃ですよ、連翹、木蓮、万作、山茱萸、梅 桃、桜、いろいろ揃えられます」流派の初代の時代から本部に花をいれている花店の社長は胸を張って言いました。作業場には2メートルほどもある早春の様々な枝ものがバケツにつけられて並ぶ中、先をくるりと巻いてしばってある、てっぺんから足元までが2.5メートルくらいのしだれ柳が私の目に留まりました。

「これ、使いたいのだけれど!」というと、社長は「いいですよ」というやいなや「おーい!これ冷蔵庫にいれとけ!」とスタッフを呼びました。2週間後のデモンストレーションの当日、この枝に新芽が吹いてほしいという注文には、直前に保管してある冷蔵室からだして陽に当て、いい具合になる様に調節するということでした。

やなぎは大きく分けて2種類あり、枝先が上に向くやなぎが楊という字を当て、枝先が下にむくものは柳の字を使います。しだれ柳 猫柳、その突然変異の黒柳、行李をつくる行李柳、雲竜柳、小豆柳、園芸品種で枝先が平たくなったような石化柳などをいけばなでは多く使います。

やはらかに柳あをめる北上の岸辺目に見ゆ泣けとごとくに  石川啄木

芽吹きの柳を故郷をはなれた啄木が歌っているのはしだれ柳でしょうか。やがて柳絮が飛ぶ季節に移っていきます。

「Willow Weep for Me」というジャズの歌詞は「柳よ私のために泣いて」とでも訳すのでしょうか。weepは枝垂れるという意味の他、忍び泣くという意味もあります。去って行った恋人に思いを重ねた歌詞で、この柳は裏が白い葉をつけて枝垂れるしだれ柳(weeping willow)です。

デモンストレーションの当日、紅白の桃の花、河津桜、そして、大きな鉄の花器の口元を占める緑の葉がつややかな真赤な椿をいれ、最後に背景の黒い幕の前にアトリエスタッフたちによってしだれ柳が何本もゆらゆらと登場すると二百数十名の客席からうわーという声が聞こえました。瑞々しい若緑の芽が出たしだれ柳は物悲しい柳ではなく、これから向かっていく輝かしい季節に爽やかでたくましい息吹が感じられる柳でした。

見渡せば柳桜をこき交ぜて都ぞ春の錦なりける 素性法師

いよいよ春が本格的に動き始めました。(光加)

朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会(二月)

caffe kigosai 投稿日:2019年3月26日 作成者: mitsue2019年3月26日

新宿朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会。今月の兼題はサイトより季語「雛」、花「赤目柳」、浪速の味・江戸の味「温め鮓」です。

【特選】
墨東は花も団子も朧かな  隆子

「墨東」という地名が遥かな懐かしさを感じさせる一句。

【入選】
空色の小皿を二枚花菜漬  勇美

空色の皿にそっと取り分ける花菜漬。彩りが春そのもの。句の形もすっきりしている。

夕焼に洗濯乾すや遍路宿  守彦

一日を歩き通したお遍路さん、夕焼けがいい。「夕焼に洗濯干すや遍路宿」。

幼子にそそぐ光の吊し雛  勇美

吊し雛を見上げる赤ん坊、まるで光がふりそそいでいるかのよう。一句に切れを入れてより印象鮮明にしたい。「幼子にそそぐ光や吊し雛」。

鳥の恋スカイツリーを逆しまに  涼子

枝を飛び回る恋する小鳥たち。スカイツリーにも止まっているようで愉快。

おちよぼ口こぼれどこへと雛あられ  涼子

おすまししている女の子。「おちょぼ口」が目に浮かぶ。「おちよぼ口こぼれ何処へ雛あられ」。

瀬戸内の穴子はうまし温め鮓  涼子

「うまし」ではただごと。「瀬戸内の穴子うるはし温め鮓」。

はなびらの手で折つてをり紙雛  隆子

「はなびらの手」は感じはあるが、よくわからない。

枝垂梅ゆるる光の檻となり  勇美

満開の枝垂梅の枝の中へ入った時の心持。光をより感じるには「枝垂梅ゆれて光の織となり」も。

温鮓や病身といふしづけさに  光枝

浪速の味、江戸の味 (四月)桜餅

caffe kigosai 投稿日:2019年3月22日 作成者: youko2019年3月28日

20190321152

桜の花が開くころ食べたくなる桜餅。関東と関西ではその姿は異なる。関東では小麦粉の生地を薄くのばして焼いた皮で餡を巻き、塩漬けの桜の葉で包む。関西では、道明寺粉の生地で餡をくるみ、桜の葉の塩漬けで巻く。関東の桜餅はさっぱりとしたクレープのような、関西の桜餅はもっちりとした食感である。初めて長命寺ゆかりの桜餅を食べたのが三年前で、それまでは道明寺粉の桜餅しか知らなかった。姿、食感は違ってもそれぞれおいしいし美しいと思う。

桜餅は桜の名所で知られた江戸向島の長命寺の門番山本新六が考案し売り出したのが始まりといわれている。文化・文政年間(1804~1830)には大評判となった。いつごろから小麦粉を原料とするようになったのかは不明である。江戸後期の随筆『嬉遊笑覧』には、初めはうるち米の粉仕立、後に葛粉で作られるようになったとある。他の文献では小麦の粉を練り蒸して生地にしていたと書かれているので、店それぞれが工夫していたのであろう。評判になった桜餅は各地に広まる。

大坂では道明寺糒(ほしいい)を原料にして作られた。道明寺は藤井寺市にある菅原道真の叔母、覚寿尼ゆかりの寺である。覚寿尼は道真が太宰府に下った後、毎日陰膳を供え無事を祈った。そのご飯のおさがりが病気回復にご利益があったので広く求められるようになったといわれている。道明寺糒は、もともと飯を干したものであった。現在はもち米を水に浸した後、蒸したものを乾燥させ粒子をそろえた道明寺粉が使われる。

どちらの桜餅も桜の葉の塩漬けがあればこそで、桜餅の風味の立役者である。

初役にいどむ稽古や桜餅   洋子

 

カテゴリー: à la carte (アラカルト), 浪速の味 江戸の味

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十七回 2026年4月11日(土)13時30分
      (原則第二土曜日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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