芽花野菜、緑花野菜と呼ばれるブロッコリーが冬の季語とは意外でした。明治時代に日本に入ってきたのでそれ以前の俳句は当然ないでしょう。日本人が本格的にこの野菜を食べ始めたのはここ四十年くらいだといわれています。今は店頭では季節を問わず見かけますが、このアブラナ科でアブラナ属の野菜の旬は冬だそうで、これからだんだんに冬の句にも取り上げられていくことでしょう。
緑黄色野菜としては中心に白い花蕾があり、周りに葉があるカリフラワーもブロッコリーと同様にキャベツの変種です。ここ数年出回りはじめたカリフラワーに薄黄色のロマネスコがあります。大振りで切れ目のある葉が周りを取り巻き、中心は小さな渦巻がたくさん集まり盛り上がっています。全体が法螺貝のような先がとがった形が珍しく、どこか幾何学を思い起こさせるような配列が面白いのです。
地中海原産のブロッコリーは蕾だけでなく葉や茎、芽が出たばかりのブロッコリースプラウトも、ビタミンCをはじめ数々の栄養素に富んでいます。しかし、込み入っている頭の部分に入ったごみや小さな虫をとるのには 調理の前に工夫をして洗わなければならず少し手間が必要です。
ブロッコリーはそのままだと緑色が鮮やかではありませんが、茹でると翡翠のような美しい色になります。コロンとした形が面白く、いつかいけばなの作品に使ってみたいと思っていました。実際に展覧会で、着色した枝と共にブロッコリーを花材として使った時は三日間のデパートでの展覧会の期間中、毎朝ブロッコリーを自宅でゆでて会場にもちこみました。新しいものに取り換えたうえに花器の中に保冷剤を入れて空調や照明に対して鮮度を保つようにしました。
一方、畑ではずっとそのままにしておくと、元々は花の蕾なので小さな黄色がかった白い花が咲くことを都会暮らしの私は知りませんでした。花が咲いたところを想像すると、そんな状態を花材にしたらどうなるのだろうかと次の段階を考えてしまいます。
白いカリフラワーと比べると今では緑のブロッコリーのほうが人気で多く買われるのだそうですが、カリフラワーも白いものの他にやや小さい黄色のもの、さらに小ぶりのオレンジ色のものなども出まわるようになりました。
これからもブロッコリーと近縁の植物たちには意外な色や形が様々にでてきて、食卓の上で私たちの目を大いに楽しませてくれるに違いありません。(光加)