a la carte_ におい蕃茉莉(なす科)

4月も半ばになる頃、我が家の鉢植の「におい蕃茉莉(ばんまつり)」の枝から紫色の新芽が次々と出てきます。この木は切花として店でみかけることはありませんが、初夏には時々鉢として出回っています。
花ははじめは紫色で、その中心に少しだけ目のような白い部分があります。紫からだんだん白へと色がぬけるので、紫、薄い紫、白と、変化する花が同時に枝についている様子はたいそう賑やかです。
白などの薄い色から他の色に変化する植物は、薄墨桜や酔芙蓉などがありますが、濃いめの紫から白というのはなかなかありません。
花盛りのときは、夜ベランダに出てみると闇の中でも蕃茉莉が咲いていることがわかるくらいの香りがあります。
「蕃」という字は茂るという意味のほか、未開の、とか外国の、という意味があります。この花の原産地は南アメリカあたりといわれ明治の末ころに日本に入ってきたのではないかという事です。「まつり」の「茉莉」という字は、茉莉花茶などを想像されるかたもあると思いますが、茉莉花、ジャスミンとは違う種類です。
英語名は Yesterday、Today&Tomorrow (昨日、今日、明日)ですが、花の色の変化を見ればなるほどと頷けます。そういえば、同じ名の題名をもつ(昨日、今日、明日)(Ieri, Oggi、Domani)イタリア映画がありました。ソフィア ローレン主演。相手役はマルチェロ マストロヤンニ。3話の中のひとつの話で、ソフィアふんするアデリーナは戦争がえりの亭主をもち闇のタバコを売って生計をたてる役です。取締りの警察に捕まるたび、妊娠中は収監ならずという法律をたてに、次から次へと妊娠し刑務所行きを免れる妻を演じていました。
我が家のにおい蕃茉莉も、枝が折れたり半分枯れたようになったり、今年はいよいよだめかと思っていると、ちゃんと花を咲かせてくれる実にたくましい木なのです。さてこの5月はどんな花をつけてくれるでしょうか。(光加)
