〈カフェネット投句〉11月20日 飛岡光枝選
【入選句】
馬の背もしとどに露の草千里 隆子
草千里もそこで草をはむ馬も露にまみれている。この句の場合「馬の背」まで言うとかえって句が小さくなる。「馬駆ける露をちらして草千里」など、草千里らしく広く、大胆に。
朴落葉小径覆うや鹿威し 周作
秋の静寂のなか、鹿威しが響く。が、それ以上のものが感じられない。情景に止まっているのが残念。
実葛イケメン名前をしらざりき 光加
実葛は美男葛とも呼ばれる。その昔、この実から整髪料をとっていたからとか。揚句はそれで「イケメン」が出てきたわけだ。かなり付きすぎだが、おもしろい一句。「実葛イケメンの名は知らざりき」。
蔵窓の開く醤油屋石蕗の花 澄江
情景はわかるが、あまりにも型どおりになってしまった。同じ作者の句「帰り花洋館多き城下町」も同様。作者が何に感動したかがわからない。それが第一歩。「石蕗の花」「帰り花」は何でもそれなりに付くので要注意。