今月の花(12月)_やどりぎ(ヤドリギ科)

すっかり樹木の葉が落ち空が見渡せるころ、梢のほうを見あげてみると、なにやら緑色をした丸く茂っているものがあります。はて、鳥の巣だろうか?と思う人も多いのですが、でもこれはヤドリギ(宿木)〔寄生木〕なのです。
桜やぶな、ケヤキや榎,みずならなど大木に寄生して葉で光合成をしながら成長します。その丸い形が面白く、木々の間にポコンポコンと数個もあると、そこの一帯が人工的な景色にさえ見えてきます。
ヤドリギをはじめて見たのは、自然の中でなく東京の六本木です。40年近く前になるでしょうか。外国人が当時から多かったこの町の大きなお花屋さんの入り口の上に、赤いリボンでヒイラギとともにくくりつけられていたのですが、何の意味かわかりませんでした。
アメリカやヨーロッパのキリスト教国では西洋ヤドリギの枝をドアにつるしたり、部屋の入り口に下げておくところもあります。もともと北欧の神話やヨーロッパのある地域の伝承に由来するとも聞きました。
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ヤドリギは今では日本でもクリスマス用に町の花屋でみかけることもあります。せっかく手に入れても寄生していた木からはとっくに離れているため、乾きが進むと枝分かれしている緑の茎から葉とともにポロリとおれてしまいます。そのときうっかり実をつぶそうものなら、ネバネバした液が手についてしまうので、丁寧な扱いをしなければなりません。緑がかった薄い黄色で半透明の膜の中には、種がしっかりと守られているのが見えます。
すこし前までは、このヤドリギの飾りの下に立った女性には、キスしていいという暗黙の了解があるという国もありました。この粘性の実は、ついばんだ鳥たちに運ばれて発芽して枝にしっかりと根をおろします。このように生命力が強い事から、どこかに霊的能力が宿ると神話では信じられていたようです。大切な行事のひとつであるクリスマス。ヤドリギにあやかり、これからも二人がずっと幸せになるようにと願う恋人たちに幸運を運ぶとなれば、いいことずくめの植物なのです。
I saw Mommy Kissing Santa Clause という町に流れるクリスマスソングの中にもヤドリギ、つまり英語では(ミッスルトー)が出てきます。(ママがサンタにキスをした)という歌詞の続きは、(昨日の晩ミッスルトーの下で)となります。いろいろな歌手が昔から歌っている曲ですが、可愛かった頃のマイケル ジャクソンが高い声で、兄弟で編成されたジャクソンファイブをバックに歌っています。
それでは昔過ぎるとおっしゃるかたには、マライア・キャリーの All I want For Christmas is You (恋人たちのクリスマス)を聞いてみてください。これも歌詞の物語の中に(ミッスルトー)がしっかりと歌い込まれています。
この植物は大地に足が着いていない分、さまざまな人々に、そしていろいろな場所で、出会いのきっかけを作ってくれ、キスを投げかけてくれているような気がしてきます。(光加)
