朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」(7月)
新宿朝日カルチャーセンターの講座「季節を楽しむ俳句入門」(カフェきごさい句会)。7月の兼題は「カフェきごさい」サイトより【季語】夏の果物、【料理】蕗、【花】太藺 です。
【特選句】
雨あしの一叢あをき太藺かな 隆子
一叢の太藺に降る雨を「一叢あをき」とした。俳句ならではの表現で涼しげな太藺を描いた。
竹藪をゆさぶる風や羽抜鳥 周作
「ゆさぶる」としたことで、季語「羽抜鳥」と呼応する不安感が出た。
弁当箱けふの主役はさくらんぼ 澄江
きらきら輝くさくらんぼは、ほんの少しでも存在感は大きい。揚句、「弁当の」とせずに「弁当箱」としたことで四角い弁当箱の空間が立ち現われて、そこに鎮座する「さくらんぼ」がより際立つ。
白粥に伽羅蕗そへて夏の始め 隆子
いよいよ暑い夏に突入という頃、白粥では力が出ないがそこに伽羅蕗を添えれば百人力。「炎天へ打つて出るべく茶漬飯」川崎展宏 を思い出す一句。
【入選句】
雨雲の垂れこむ一日杏煮る 澄江
杏の暗いオレンジ色と雨雲。
軍港の金網沿ひの夾竹桃 周作
軍港、金網という硬質なことばに夾竹桃はよく合う。
市立つやわつて差し出すはたんきよう 光加
夏の市場の様子。動詞が多いと句が散漫に。「市立つ」を「朝の市」にするなど工夫を。「わつて」、「はたんきよう」を平仮名にする意味があるかも考えること。余計なことをすると句がうるさくなるので注意。
切岸のはてのはてまで蕗青葉 隆子
「切岸」は垂直、「はてのはてまで」は水平。イメージが結びにくい。
蕗畑潜りてトトロに逢ひにゆく 澄江
「て」があると動作が止まってしまう。今まさに逢いに行くうれしさと勢いを大切に。
涼しさの一輪挿しのくびれかな 良子
「涼しさや一輪挿しに佳きくびれ」。
越南のパパイヤ青き月夜かな 隆子
ベトナムの月夜。
どの家も小橋を持ちて鴨足草 良子
三島など、豊かな水の町。「持ちて」を消す工夫を。
次回八月の兼題は【季語】夏の鳥、【料理】冷し汁、【花】夾竹桃です。盛夏を迎え、読み応えのある季語が満載の季節、ますますのご健吟を。
分け入りて太藺の道や恋の道 光枝